現在、欧米各国をはじめアジア各国でも注目されている2つの2型糖尿病治療薬「セマグルチド」と「リラグルチド」。肥満に対する治療薬としても効果を発揮することから、ダイエット薬としても非常に大きな注目を集め、日本でも話題になっています。
ここでは、セマグルチドとリラグルチドについて、ダイエット効果・2型糖尿病治療での効果・安全性・価格の違いを比較!また、入手方法についてもご紹介しています。
セマグルチドとリラグルチドはどちらも、「GLP-1受容体作動薬」という種類に属する医薬品です。本来はどちらも2型糖尿病の治療薬として開発されたものです。しかし、臨床試験で肥満症に対する減量効果が認められたことから、新しい減量薬として欧米諸国では肥満と2型糖尿病の両方の治療薬として認可、処方されています。
セマグルチドは2型糖尿病の治療薬として内服薬タイプの「リベルサス錠」と皮下注射タイプ「オゼンピック」また、肥満症治療薬として皮下注射タイプ「ウゴービ」があります。
「リベルサス錠」は世界初の、そして唯一の経口のGLP-1受容体作動薬で、2型糖尿病患者の血糖値をコントロールして改善する糖尿病の治療薬として承認されています。
日本では2023年3月に承認され、2型糖尿病、肥満症(BMI35以上、BMI27以上で2つ以上の肥満関連疾患がある場合)に処方されます。
リラグルチドは2型糖尿病の治療薬として皮下注射薬があり、日本では「ビクトーザ」、アメリカ合衆国では「サクセンダ」として処方されています。リラグルチドは日本では2型糖尿病の治療薬としてのみ認可されており、肥満症の薬としては承認されていないため、肥満治療にリラグルチドを使用する場合は自由診療となります。
同じ種類に属するセマグルチドとリラグルチドですが、やはり気になるのは効果がどれだけあるかということですよね。自分に合った薬を選択するために、減量、2型糖尿病治療にどのような違いがあるかを掘り下げます。
減量の観点から言えば、セマグルチド注射の方がリラグルチドよりも減量サポートにおいてより効果的であることが実際に判明しています。
米国サウスカロライナ医科大学のパトリック・モニール氏を代表とする研究チームは、糖尿病がなく、体格指数 (BMI) が 30 kg/m 2以上の成人 (18 歳以上) に対してセマグルチド皮下投与とリラグルチドの影響について臨床試験を実施しました。この研究では、セマグルチド [0.05 mg、0.1 mg、0.2 mg、0.3 mg、または 0.4 mg; 0.05 に開始、リラグルチド3.0mg、およびその両方に対応するプラセボのランダム化試験を実施。皮下注射により1日1回の投与を行いました。
その結果、52週の試験期間中、セマグルチド投与群では平均15.8%の体重減少が見られたのに対し、リラグルチド投与では平均6.4%の体重減少が見られたと報告しました。
リラグルチドまたはプラセボの毎日の投与量と比較して、毎日0.2mgを超えるセマグルチドを摂取した患者の方が体重減少が大きく、より高用量のセマグルチドの方がより大きな体重減少をもたらすことが明らかになりました。*1
また、米国バージニア州アーリントンのワシントン体重管理研究センターの医学博士・ドメニカ M. ルビノ医師のチームが行った研究では、リラグルチドとセマグルチドは、食べ物への欲求をおさえ、摂取量を減らすことによって体重減少を引き起こす効果があるが、セマグルチドはカロリー摂取量を約35%減少させるのに対し、リラグルチドはカロリー摂取量を16%しか減少させないということが明らかにされました。*2
サウジアラビアのハッサン A. アルシュガイル氏らが実施した臨床試験によると、セマグルチドを投与した患者はリラグルチドを投与した患者よりも平均血糖値(HbA1c)が低下したことが明らかになりました。セマグルチド を1mg投与した患者は、リラグルチドを0.6mg、1.2mg、および1.8mgを投与した患者よりも平均血糖値レベルを0.56%、0.47%、および 0.3%低下させたことが示されました。*3
セマグルチドとリラグルチドは、化学構造が似ており、同じような効果を持ちますが、投与方法や副作用には違いがあります。体重減の観点から見ると、経口セマグルチドはリラグルチド皮下注・プラセボよりも優れています。ただ、安全性・忍容性は両薬とも同等です。*4
セマグルチドは週に1回皮下注射するタイプと、1日に1回経口で服用するタイプがあります。リラグルチドは、1日に1回皮下注射するタイプのみです。投与方法に違いがあり、セマグルチドとリラグルチドのどちらを選ぶかは患者の症状や目標、好みなどによって異なるでしょう。下記は好みを示したグラフでリラグルチドよりセマグルチドを使用している方が多いことが分かります。
国際市場において、Wegovy(ウェゴビー)とSaxenda(サクセンダ)は肥満治療用の医薬品として認知されており、Ozempic(オゼンピック)とVictoza(ビクトーザ)は糖尿病治療薬として処方されています。内容量やパッケージデザイン、使用方法に微細な差異がありますが、ウェゴビーとウェゴビー、サクセンダとビクトーザはそれぞれ同じ有効成分を含む医薬品として位置づけられています。
セマグルチド | リラグルチド |
---|---|
オゼンピック | サクセンダ |
ウェゴビー | ビクトーザ |
セマグルチドおよびリラグルチドをダイエット目的での使用に際し、両薬剤は共に5段階の用量設定があります。多くの場合、最大用量に至らずとも効果が見られるため、本分析ではセマグルチドの中用量(1.0mg)とリラグルチドの中用量(1.8mg)を用いて、月間の必要量及びコストを比較しています。オゼンピックについては、週一回の注射が特徴であり、その結果、針代などの関連コストも低減されます。
薬剤 | 使用本数 / 月 | 料金/月 |
---|---|---|
セマグルチド(オゼンピック) | 2本 | 46,200円 |
リラグルチド(サクセンダ) | 3本 | 65,340円 |
※オゼンピックは28日分、 サクセンダは30日分。
※その他、診察料 採血検査料、針代などがかかる。
つまり、セマグルチドの方がリラグルチドより約1.5倍安くなっていることが分かります。投与方法や、効果・値段を比較して検討されるといいでしょう。
セマグルチドとリラグルチドは、どちらも処方箋が必要な医療用医薬品です。したがって、一般の薬局やドラッグストアでは買えません。しかし、セマグルチドのリベルサスとリラグルチドのビクトーザ皮下注射はベターヘルで購入することも可能です。ベターヘルスは、海外の医薬品を個人輸入する際のサポートサービスを提供しています。お客様のニーズに合わせて、海外の提携先と協力して、お支払いや輸入・通関の手続きを代行します。
セマグルチドとリラグルチドは、どちらも2型糖尿病の治療に用いられるGLP-1受容体作動薬です。セマグルチドは、週に1回皮下注射するオゼンピックと、1日に1回経口で服用するリベルサスがあります。リラグルチドは、1日に1回皮下注射するビクトーザがあります。セマグルチドとリラグルチドのどちらを選ぶかは、患者の症状や目標、好みなどによって異なるでしょう。医師と相談して、最適な薬剤を選択することが重要です。
参照:
*1:「肥満患者の減量に対するセマグルチドの有効性と安全性をリラグルチドおよびプラセボと比較:無作為化二重盲検プラセボおよび実薬対照の用量範囲別第2相試験」(英語)
*2:「糖尿病を伴わない過体重または肥満の成人の体重に対するセマグルチドの毎週の皮下投与と毎日のリラグルチドの影響ーSTEP 8 ランダム化臨床試験」(英語)