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デュタステリド(Dutasteride)とは?

有効成分デュタステリドは、「アボルブ」または「ザガーロ(Zagallo)」という商品名で販売されている医薬品に含まれている主成分です。

4- アザステロイドの骨格を有する 5- α還元酵素阻害剤と呼ばれる医薬品のクラスの属するお薬で、5- α還元酵素I 型と II型、 Ⅲ型をすべて阻害します。

「アボルブ」は良性前立腺肥大症(BPH)を治療するために使用されるお薬で、保険が適応されます。デュタステリドを0.5mg含みます。尿の流れを改善するのに役立ち、その結果、前立腺手術が必要なほど重症化するリスクを減らすことができます。

日本では2009年に厚生労働省より認可が降り、販売されるようになりました。イギリスの製薬会社であるグラクソ・スミスクライン社(gsk)が製造販売していて、海外では「アボダート(Avodart)」という商品名で販売されています。

 

「ザガーロ(Zagallo)」は同じ有効成分デュタステリドを含む男性のAGA(androgenetic alopecia: 男性型脱毛症)を治療するために処方されるお薬です。デュタステリドが0.1mgまたは0.5mg含まれている軟カプセルタイプの剤形で販売されています。AGA治療薬のプロペシアよりも発毛効果が高いとして知られるようになったお薬です。日本では2015年に承認されました。

 

化学名:

N-[2,5-Bi(s trifluoromethyl)phenyl]-3-oxo-4-aza-5α-androst-

1-ene-17β-carboxamide

デュタステリド

分子式:

C27H30F6N2O2

デュタステリドは、融点が242〜250℃の白色〜薄い黄色の粉末です。エタノール(44 mg / mL)、メタノール(64 mg / mL)、ポリエチレングリコール400(3 mg / mL)には溶けますが、水には溶けない性質を持っています。

AGAと男性

デュタステリドの作用機序

1) 男性型脱毛症(AGA)としてのデュタステリドの作用機序

男性型脱毛症はアンドロゲン性脱毛症(AGA)とも呼ばれ、アンドロゲンという男性ホルモンは男性が年を取るにつれて脱毛する最も一般的な原因となっています。

ジヒドロテストステロン(DHT)はアンドロゲンの一種です。アンドロゲンは、体毛が濃くなったり、声が低くなったりなどの男性的だと特徴づけられる身体の発達に寄与するホルモンです。DHTはまた、男性型脱毛症を引き起こす原因となるホルモンです。

デュタステリドは5- α還元酵素阻害剤と呼ばれる医薬品のクラスの属するお薬で、I 型と II型 、 Ⅲ型のすべての5- α還元酵素を阻害します。

5- α還元酵素を阻害すると、男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)が減少し、その結果脱毛を食い止め、AGAを治療する効果をもたらすとされています。

AGA治療薬であるプロペシア(有効成分フィナステリド)は5- α還元酵素II型を阻害します。そのため、5- α還元酵素I 型が原因でAGAになっている方はデュタステリドを服用すると効果があらわれることがあります。

 

2)良性前立腺肥大症(BPH) 治療薬としてのデュタステリドの作用機序

男性ホルモンとしてはテストステロンが有名ですが、テストステロンは別のアンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるまでAGAに影響しません。 DHTは前立腺細胞の成長も促し、思春期に陰茎が正常に成長するように作用しますが、高齢になった男性の良性前立腺肥大症(BPH)にも影響を与えます。

デュタステリドは5- α還元酵素を阻害することで、テストステロンがDHTへの変換されることを抑制します。良性前立腺肥大症の治療において、デュタステリドは循環しているDHTの量を減少させ、前立腺肥大の減少と尿の流れを改善することに繋がります。

 

3)デュタステリドを含む5- α還元酵素阻害薬と前立腺がんについて

2010年にイギリスの調査機関であるコクラン(Cochrane )が行った調査において、5- α還元酵素阻害薬の効果により、前立腺がんの発症リスクが25〜26%減少することがわかりました。

しかし同時に、5- α還元酵素阻害薬は、特定の重度の前立腺癌を発症するリスクを27%増加させることが報告されています。

すべての研究でこの現象が観察されたのではなく、前立腺がんによる死亡の全体的なリスクにどのように影響を与えるかを決定するために十分なデータは現状では足りないのが実情です。

デュタステリドの薬物動態

吸収

カプセルの取り扱い時に漏れた薬剤が皮膚から吸収されるため、取扱に注意し、女性と子供が触れることがないように注意してください。

経口投与されたデュタステリドのバイオアベイラビリティー(生物学的利用能)は約60%です。食物はデュタステリドの吸収に干渉しません。

 

代謝

デュタステリドは主に肝臓による代謝によって消失すると考えられています。

 

排泄

糞便からほとんどが排泄されます。(代謝産物として40%、未変化の薬物として5%)

尿からはほとんど排泄されず、未変化の薬物として0.1%未満が検出されました。

その他、不明な量は約55%となっています。

 

血漿レベルのピークまでの時間

血漿レベルのピークは、投与後2〜3時間で到達します。

 

血清半減期

血清半減期はおよそ3〜5週間です。

デュタステリドは半減期が長いため、投薬中止後も長期間体内に残り、最大で4〜6か月間成分が検出されます。この期間は献血などを行わないように注意してください。

デュタステリドの効果

1)デュタステリドのAGA治療薬としての使用:ザガーロ(Zagallo)

 

① デュタステリド:ザガーロの効果

ザガーロは、体内のジヒドロテストステロン(DHT)の量を減らすことによってAGAを治療します。 5α-レダクターゼの1型と2型の両方を阻害し、血中のDHTレベルを最大で98%減少させることができます。

DHTの低下は、前立腺が大きくなるのを防ぐのに役立ちます。

 

② デュタステリド:ザガーロの用法・用量

通常、成人男性はデュタステリド0.1mgを1日1回服用します。

必要に応じて用量を0.5mgに増やし、1日1回服用することができます。

一定の時間に服用することを決めて、毎日同じ時間帯に1カプセルを服用することを推奨します。

年齢、症状、体質、併用している医薬品、投薬後の体調の変化などを見て医師が用量を決めますので、用量の変更はご自身で行わず、必ず医師に相談するようにしてください。

服用を忘れた場合は、いつもの時間に1カプセルを服用し、2錠を1度に服用することがないようにしてください。

 

2)デュタステリドの良性前立腺肥大症(BPH) 治療薬としての使用:アボルブ

 

① デュタステリド:アボルブの効果

アボルブは血液中のジヒドロテストテロン(DHT)と呼ばれるホルモンの形成を防ぎます。

DHTは前立腺を肥大させるので、体内でのDHTの減少は、肥大した前立腺を収縮させるサポートを行います。

 

② デュタステリド:アボルブの用法・用量

カプセルの内容物と接触すると中咽頭粘膜に刺激を受ける可能性があるため、カプセルは丸ごと飲み込んでください。噛み砕いて飲んだり、カプセルを割ったりしないでください。 アボルブは、食べものの有無にかかわらず投与できます。

 

単剤療法

アボルブの推奨用量は、1日1回1カプセル(0.5 mg)です。

 

α-アドレナリン拮抗薬との併用

アボルブを1カプセル(0.5 mg)を1日1回服用し、併用してタムスロシン(商品名:ハルナール)0.4 mgを1日1回服用します。

デュタステリド AGA治療への臨床試験

男性型脱毛症へのデュタステリドの効果を調べる2件のランダム化プラセボ対照試験では、プラセボと比較して発毛の増加におけるデュタステリドの有効性が実証されました。

報告された最も一般的な副作用は性欲低下または性機能障害でした1件の試験で、デュタステリド2.5 mgは、12週および24週でフィナステリド5 mgより優れていることが示されました。

ただし、副作用は、その強力な効力のためにデュタステリドでより頻繁に発生する可能性が示唆されています。

AGAの治療におけるデュタステリドの効果と副作用をより明らかにするためには、さらなる試験が必要となります。

参照:
https://www.drugs.com/ppa/dutasteride.html

デュタステリドとフィナステリドの比較

1)AGAの治療効果:デュタステリドとフィナステリドとの比較

デュタステリドは5- α還元酵素Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3種類すべてを阻害します。

AGAには5- α還元酵素Ⅰ型とⅡ型が関わっています。その結果、デュタステリドは血液中に循環しているDHTレベルを最大で98%削減できます。

フィナステリドはⅡ型とⅢ型のみを阻害します。そのため、DHTレベルを65〜70%しか削減できません。

また、フィナステリドの血清半減期は6〜8時間と短く、デュタステリドの血清半減期は3〜5週間と長期間体内に残ります。この性質もAGAの治療効果に影響を与えると考えています。

その結果、デュタステリドの脱毛抑制・発毛効果はフィナステリドよりも優れているということができます。しかし、その分デュタステリドには副作用があらわれる確率が高くなりますので、医師に相談して慎重に判断してください。

 

2)良性前立腺肥大症(BPH)の治療効果:デュタステリドとフィナステリドとの比較

前立腺には5- α還元酵素の2型が主に存在しているため、フィナステリドとデュタステリドはどちらも85〜90%程度のレベルでDHTを減少させます。

良性前立腺肥大症へのデュタステリドとフィナステリドの効果は同等であり、どちらも良好な治療効果をもたらします。

デュタステリドは複数の併用注意薬がありますが、フィナステリドは指定された併用禁忌薬がありませんので、良性前立腺肥大症の治療へはフィナステリドの方が服用しやすいかもしれません。

詳しくは医師に相談してください。

参照:
https://www.healthline.com/health/enlarged-prostate/dutasteride-finasteride-comparison

デュタステリドの副作用

◯ 神経ステロイドの減少

DHTを阻害する効果に加えて、デュタステリドを含む5- α還元酵素は神経ステロイド阻害剤でもあり、アロプレグナノロンやTHDOC(テトラヒドロデオキシコルチコステロン)などのさまざまな神経ステロイドの5α-レダクターゼを介した活動を妨げます。

これらの神経ステロイドは、GABAA受容体のポジティブな作用をもたらし、抗うつ作用、抗不安作用や性的刺激効果をもたらすことが動物実験においてわかっています。このため、神経ステロイド形成の阻害は、デュタステリドやフィナステリドの副作用である性機能障害やうつ病に関与している可能性があると考えられています。

参照:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4064044/

 

◯ 一般的な副作用

男性の乳房の組織が拡大する副作用を除いて、以下の副作用は治療期間とともにほとんどの場合減少します。

  • 勃起不全(勃起のトラブル)
  • 性的関心、または性能力・性欲の低下
  • 射精障害(性交中に放出される精液・精子の量の減少)
  • 乳房障害(乳房のサイズの増加、乳房の圧痛)
  • 睾丸の痛みや腫れ
  • 精巣の痛みと精巣の腫れ

 

◯ 稀な副作用

  • 心不全
  • 前立腺がん
  • うつ病・抑うつ

 

このリストにはすべての副作用が含まれているわけではありません。その他の副作用が発生する可能性があります。副作用の詳細については、医師に確認してください。

デュタステリド 併用禁忌薬

デュタステリドは、他の薬物との深刻な相互作用は今のところ報告されていません。

デュタステリドの中程度の相互作用をもたらす併用注意薬は次のとおりです。

  • アムロジピン
  • カルバマゼピン
  • シメチジン
  • リトナビル
  • クラリスロマイシン
  • エリスロマイシン
  • アジスロマイシン
  • イソニアジド
  • イトラコナゾール
  • ケトコナゾール
  • ネファゾドン
  • リファブチン
  • リファンピン
  • セントジョンズワート(セイヨウオトギリ)

 

このリストには、すべての相互作用をもたらす医薬品が含まれていません。

したがって、このデュタステリドを使用する前に、使用しているすべてのお薬、サプリメント、漢方薬について医師または薬剤師に伝えてください。

デュタステリド 使用上の注意

・デュタステリドの治療を開始する前に、泌尿器科の医師に相談するようにしてください。

・性機能障害の副作用は、極稀ではありますが、服用中止後も継続するという報告があります。服用に際しては医師に相談するようにしてください。

・妊娠中の女性、授乳中の女性、小児は、皮膚からの吸収のリスクがあるため、カプセルに触らないようにしてください。

・小児と女性には効果がありませんので服用は避けてください。

・閉塞性尿路障害、肝疾患のある方は服用を避けて医師に相談してください。

・デュタステリドの最終投与後、6か月までは献血しないでください

・心臓の変化や心不全の兆候などを観察してください。

 
 

デュタステリド 過量投与

デュタステリド過量に服用すると、副作用を起こす危険性が高くなります。

医師に指示された用量よりも多く服用することは避けてください。

副作用には、性欲の低下、勃起を得ることまたは維持することへの困難、射精障害、乳房のサイズの増加、乳房の圧痛、発疹などが含まれます。

デュタステリドのジェネリック医薬品

デュタステリドのジェネリック医薬品には、デュタスとベルトリドなどあります。

デュタス 箱とタブレット

デュタス(Dutas)

デュタスはインドの多国籍製薬会社であるDr. Reddy’s 社が製造販売しています。デュタステリドを0.5mg含むゼラチンカプセル状のお薬です。

商品ページはこちら

ベルトリド タブレット

ベルトリド (Veltride)

ベルトリドはフィルムコートされた錠剤タイプのジェネリック医薬品です。デュタステリドを0.5mg含みます。インドのグジャラート州アフマダーバードに本社を構えるインタス製薬(Intas Pharmaceuticals)が製造販売しています。

商品ページはこちら

デュタステリドのジェネリック医薬品を通販で購入する方法

デュタスやベルトリドなどのデュタステリドのジェネリック医薬品は個人輸入代行サービスの通販サイトをとおして簡単に購入することができます。海外からの医薬品は国内のアマゾン(Amazon)や楽天などの通販サイトでは購入することが法律で認められていませんが、海外から個人輸入することは認められています。その際は、1回に注文する量が処方薬ですと1ヶ月以内となりますので、規定の量を守りご注文するように注意する必要があります。また、会社宛に送ることができず、必ず服用する本人がご自宅の住所に郵送してもらうようにして注文するなどの規定があります。

セルジオ・ペレス 薬学博士

セルジオ・ペレス 薬学博士

セルジオ・ペレス薬学博士は薬学研究の専門家として、ベターヘルスストアーの医薬品に関する情報の監修に携わっています。

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