速効性があり、強力な局所麻酔薬として知られるリドカイン(Lidocaine)について紹介します。意識を保ったまま部分的に麻酔効果をもたらすリドカインは、どんな時に使うのか、その効果や副作用などわかりやすくまとめました。
リドカイン(Lidocaine)は局所麻酔に使用する薬の成分です。意識を失う全身麻酔とは異なり、意識があるままで体の一部分だけに麻酔をかける薬です。
リドカインは1943年に開発され、1948年から販売開始、長年にわたり世界で広く用いられています。製薬会社アストラゼネカ社の商品名「キシロカイン(Xylocaine)」でも周知されています。リドカインは薬の成分名で、キシロカインは販売されている商品名という違いです。
局所麻酔薬リドカインは、クリームやジェルの軟膏タイプ、スプレー、注射、テープなどさまざまな形状で使用されています。
• 局所麻酔薬(浸潤麻酔、伝達麻酔、表面麻酔、硬膜外麻酔)
• 抗不整脈薬
• ナトリウムチャネル遮断薬
アミド型の局所麻酔薬のなかで、リドカインは効くまでの時間が最も速く、持続時間が短いという特徴があります。また、エステル型の局所麻酔薬のプロカインより、リドカインは作用の発現までが短く、麻酔効果が強い、作用持続が長い、などの違いがあります。
一般名(成分名) | 商品名 | 作用発現時間 | 作用持続時間 |
---|---|---|---|
リドカイン | キシロカイン | 2〜3分 | 1〜1.5時間 |
メピバカイン | カルボカイン | 2〜5分 | 1〜2時間 |
ブピバカイン | マーカイン | 3〜5分 | 3〜5時間 |
ロピバカイン | アナペイン | 3〜6分 | 3〜5時間 |
レボブピバカイン | ポプスカイン | 3〜7分 | 3〜5時間 |
「キシロカインゼリー2%」では、5〜10mL(膀胱鏡検査時、尿道麻酔)で作用発現時間は2分、作用持続時間は約30分と報告されています。
神経伝導を遮断することにより局所麻酔効果を現します。神経を一時的に麻痺させ、痛みや痒みなどの感覚を感じなくさせます。また、乱れた脈(主に頻脈)を整える作用もあります。
リドカインは皮膚の表面の痛みや痒みなど、過敏になっている知覚を鎮める目的で外用薬として用いられます。痒み止め用途の他、タトゥー用麻酔、レーザー治療時、脱毛の痛みを和らげるため、男性の早漏対策にも使用されます。
ほかにも、鼻炎を和らげるための点鼻薬や眼の手術のための麻酔薬として点眼薬で使われています。また、不整脈の治療にはリドカイン注射液が用いられます。
日本では有効成分リドカインのみを配合した薬は処方箋が必要で、市販薬は販売されていません。一部にリドカインが含まれている市販薬はあります。痒みを鎮めるためのフェミニーナ軟膏S、ボラギノールA軟膏、メンソレータムADクリームmなどがありますが、殺菌成分や炎症を鎮める成分など他の有効成分も含有されています。
注射液:不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦など
キシロカインゼリー:眠気、不安、興奮、霧視、眩暈、悪心・嘔吐、蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫など
処方された指示通りに使用し、異常を感じたらすぐに医師に相談することが大切です。