ジェネリック医薬品(後発医薬品)が世間で知られるようになって久しくなりました。数ある薬の中でも、登場以来ずっと登場が待ち望まれていた、医薬品「エリキュース」のジェネリック医薬品の承認が発表されました。この記事では、エリキュースの基本情報、エリキュースのジェネリック医薬品の登場が患者にとってどんな影響があるのか、医療特許についても踏まえながら解説します。
エリキュースは、直接作用型の経口抗凝固薬として2013年に登場した医薬品です。有効成分アピキサバンを主成分としており、血液を固まりにくくして血栓ができるのを防ぎ、血管が詰まるのを予防します。心房細動による脳卒中や静脈血栓塞栓症の治療に使用されます。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)の主力製品で、2021年には世界中で167億ドルを売上げ、抗凝固剤の新薬市場で最もシェアが高いものとなっています。
日本では2012年からジェネリック医薬品の普及促進策がとられ、2021年には目標の80%を達成しています。
そして2019年12月23日、米食品医薬品局(FDA)は、経口抗凝固薬「エリキュース(一般名アピキサバン)」初のジェネリック医薬品を承認したと発表しました。エリキュースの特許は、アメリカ国外では2026年、アメリカ国内では2028年に満了すると見込まれています。
現在、ファイザー社からエリキュースが販売されています。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品の再審査期間や特許期間の終了後に発売されるものです。通常、特許の存続期間は出願から20年です。しかし、医薬品の場合は安全性を確かめる試験の実施や国による審査などがあるため、最大゙5年間の特許期間の延長が認められます。特許期間の間は先発医薬品を開発した業者だけが、゙独占的に製造販売できる権利を持っています。
この、特許期間が満了すると、他の製薬会社でもジェネリック医薬品を製造販売できるようになります。
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同じ成分と効果を持つ薬。新薬を開発するのには約9〜17年と数百億円の費用が必要ですが、ジェネリック医薬品は既に承認された有効成分を利用しているため、約3〜5年の比較的短期間で開発することができます。 現在、エリキュースの薬価は2.5mgあたり117.5円、5mgあたり212.3円となっています。
*BHではエリキュースが販売されています
オムテン、ビーセレクト、リピダトールなど、過去に開発された多くのジェネリック医薬品は、オリジナル製品に比べて低価格です。エリキュースの特許期間が終了すれば、日本でもジェネリック版がより手頃な価格で手に入るようになるでしょう。
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