ED(勃起不全)は、たくさんの男性が悩んでいる性機能不全の症状です。日本では成人男性の4分の1、およそ1800万人がEDに悩まされているとされています。
EDは英語でErectile Dysfunctionと呼ばれている言葉の略で、かつてはインポテンツ (impotence)とも呼ばれていましたが、適切でない表現であることからED(イーディー)という言葉がより好まれるようになり、定着するようになりました。
EDの意味は満足したセックスをするために十分なしっかりとした勃起を得ること、または保つことが難しい症状として定義されます。
セックスする時に時々、勃起の硬さが不足していたり、中折れしてしまったりすることはごく普通のことです。健康な男性でも、疲れすぎていたり、ストレスを感じている時などは勃起力不足や、中折れになってしまったりするものです。
しかし、一定の期間に続けてこのような困難を経験している場合、EDの症状かもしれないと疑った方が良いでしょう。
勃起を得ることができず、女性を満足させることができないことから男性としてのプライドが傷つき、パートナーとの親密な一時を意図的に避けるようになることもあります。こうなると関係性自体にもネガティブな影響を及ぼしてしまいがちです。EDの症状を抱えている男性は一人で悩む傾向があり、パートナーに打ち明けられないでいると、パートナーの女性に自分の魅力がないからなのではと誤解を与えてしまうこともあります。
男性の性機能不全には性欲減退や射精の症状(早漏または遅漏)など、いくつかの形態があります。
その中でも、ED(勃起不全)は勃起を達成または維持することへの困難を指します。 EDは男性が性欲を感じるものの、それでも体が思うように反応しないことです。
EDの歴史については「ED(勃起不全)の歴史」の記事を参照してください。
EDの症状は大きく分けて3つの特徴があります。
満足したセックスを行うために十分に長く続き、十分に硬い勃起を得ることができない男性は、ED(勃起不全)を患っていると考えられます。
ED(勃起不全)の症状にはさまざまなレベルの症状があります。
全く勃起しないとう重度の症状から、時々勃起を得ることが困難な軽度の症状、直立するような硬い勃起を得ることができない勃起力不足の症状、勃起を得ることができるものの性交の最中に途中で萎えてしまう症状、オナニーの時には勃起を得ることができるのに実際の女性とのセックスの時には満足した勃起が得られない症状、他の女性とのセックスでは勃起を得ることができるのに妻とのセックスの時だけ勃起がうまく得られない症状、などなど様々です。
実際のところ、EDを患っているほとんどの男性は、オルガズムを得る能力と、子作りをする能力があります。しかし、セックスができないために、これらを得ることは容易ではありません。
EDの原因は大きく分けて2つに分けられます。
慢性疾患が原因で引き起こされている器質性EDと、心理的な要因から引き起こされている心因性EDです。
器質性EDは、ペニスへの血流に影響を与える病気や、加齢によって自然に起こるEDの症状です。
加齢が原因の器質性EDはテストステロンのレベルの低下と陰茎への血流の減少が原因で起こります。
EDにつながる病気には、2型糖尿病、心血管系疾患、肺の疾患、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化)、腎臓病、多発性硬化症、肥満などがあります。これらの病気は体全体の血流や神経系が損傷している可能性がある症状です。
このような慢性疾患が原因のEDの中では、糖尿病が最も高い確率になります。糖尿病を患っている男性は、糖尿病を患っていない男性よりも勃起不全を有する確率が2〜3倍高いとされています。
また、糖尿病を患っている男性は、健康な男性よりも10〜15年早くEDの症状を患う傾向があります。十分な血糖コントロールを行うと、このリスクを最小限に抑えることができますので、食事療法や適度な運動を行うなどの日常生活での努力を行うことが大切です。
器質性EDは、病気が原因である場合は、その症状を治療することができるとEDも克服することに繋がります。
また、EDはこれらのより深刻な病気の兆候としてあらわれることがあります。EDに悩まされたら、まずは病院で医師の診察を受けることが推奨されているのは、このような理由からです。EDになった時点で検査を受ければ、病気の早期発見にも繋がります。
心因性EDは、心理的要因によって引き起こされるEDです。
ストレス、憂鬱感、罪悪感、自分の体への自信のなさ、コンプレックス、パートナーとの関係性の問題、パフォーマンス不安症などの不安感は、すべてEDにつながる可能性があります。
心因性EDは非常に多くの男性たちが経験したことがある症状です。実に10%から20%の男性が人生のある時点で心理的な勃起障害を経験したことが報告されています。実際にはより多くの男性が心因性EDを経験したと考えて良いでしょう。
朝勃ちやオナニーの時には正常な勃起を得ることができるとしたら、心因性EDである可能性が高いと言えます。
心因性EDの原因には以下のようなことが挙げられます。
・パフォーマンス不安症
性的なパフォーマンス不安症を患っている男性は、セックスでの失敗を恐れるあまり、EDになることがあります。
ペニスが大きくないこと(短小)のコンプレックス、早漏や遅漏など射精のタイミングをコントロール出来ないことへの不安、勃起力不足への不安、パートナーを満足させる能力への心配などが性的なパフォーマンス不安症に繋がります。
これらの失敗を心配すればするほど、EDを経験する可能性が高くなります。失敗に対する恐怖が強すぎると性的能力が麻痺する傾向があるのです。
人がストレスを感じたり不安になったりすると、脳がアドレナリンやコルチゾールのようなストレスホルモンを放出します。これらのホルモンは筋肉を緊張させ、心臓が急速に鼓動させます。場合によっては、陰茎への血流が減少することになり、勃起の能力が妨げられることがあります。
ストレスホルモンはまた、身体的にも精神的にも、危険を回避し生き延びることができるように身体を準備させます。この緊張状態は自律神経の交感神経が優勢になっている状態です。勃起を得るためにはリラックスしている必要があり、副交感神経が優勢になっている必要があります。
脳と体が脅威に耐えることに集中しているとき、勃起を得ることは容易ではなくなります。
パフォーマンス不安症は、EDの主な原因である可能性があり、また、過去にセックスで失敗してしまった経験があった後から起こることがあります。一度勃起できなかった後からは、次回からは再び失敗してしまうのではないかと心配するようになります。
・ストレス
現代社会で私たちは皆、仕事や家庭、人間関係、経済的なことなどでストレスを感じがちです。
慢性的なストレスや疲れ、睡眠不足などはすべてED(勃起不全)の原因になることがあります。
ストレスホルモンは、人がストレスを受けると血液中に放出されます。これらのホルモンは男性が勃起を達成し、維持することを妨げます。
・うつ病
ある調査によると、うつ病患者の75%が何らかの性機能不全の症状を抱えているとされています。
気分が沈み落ち込んでいる時は、元気がなく、全体的にエネルギーレベルが低くなります。このような精神状態の時は、性的に気持ちが高揚したり、勃起を達成することが難しくなります。
うつ病はまた、脳内の化学物質や神経系に変化を及ぼすので、男性の性欲と勃起を起こす能力を妨げることがあります。
・パートナーとの関係性の問題
セックスで満足感を感じるためには、男女がお互いに安心して親密に感じていることが大切です。パートナーと喧嘩をしていたり、仲違いをしているというような場合、男性はEDになることがあります。
また、妻とのセックスだけEDになってしまったり、ある特定のパートナーだけの場合のみというように、相手によってEDになることもあります。
・ポルノ依存症
ポルノ映像(エロ動画)を見すぎていると、実際のセックスの際にEDになる可能性があります。
ポルノの映像は性的な刺激を与えるために過剰に演出されていています。そのため、普通の女性とのセックスの時に興奮しにくくなることに繋がります。AV女優のような容姿やテクニックを持っている女性はそんなに多くなく、非現実的なエロティックなシチュエーションもそうそうはないので、男性の期待値を満たすことは少なく、その上緊張していたり、EDになるのではと不安になっていまうと、よりEDになる可能性が高くなります。
オナニーの時には必ずAVを見る必要があるという男性は要注意です。AVを観ている時にしか勃起しなくなることがあります。
・罪悪感
罪悪感は心因性EDの原因の1つとして考えられています。セックスへの罪悪感が強すぎると、性的興奮と快楽を伝える脳と身体の間の信号が遮断されるため、勃起の機能が妨げられます。
人が罪悪感を感じると、罰のように感じられる嫌な出来事を引き寄せるようになります。無意識の中で罪悪感に反応し、自らの性的喜びを否定することによって自分自身を罰しているようにも感じられます。
罪悪感によるEDは浮気をしている男性がしばしば経験します。
また、宗教や文化的な理由からセックスを恥ずべきものと教えられていたり、そのように認識している男性も罪悪感によるEDを経験することがあります。
心因性EDに対する治療法にはいくつかの選択肢があります。
・心理カウンセリングやセラピーを受ける
カウンセリングを受けたり、セラピストと話すことはEDを治療する助けになります。
ED(勃起不全)はプライベートな症状であるために、ほとんどの男性が病院に行ったり、カウンセラーと話たりすることを避けたがる傾向があります。
しかし、症状の改善のために勇気を持ってEDと向き合いカウンセリングを受けことは症状の回復に繋がる大切な一歩です。
・パートナーに協力を求める
そして、最も大切なことは、パートナーに症状のことを話し、十分なコミュニケーションとることです。
ほとんどの女性は、男性のことを好きだったら正直に悩みを伝えてもらうと嬉しいと感じるものです。そして少しでも力になるようにサポートしたいと思います。
恥ずかしさからパートナーにEDの症状を隠したり、話し合うことを避けようとすると、女性はよく自分に魅力がないためにセックスをしてくれないのかと誤解してしまいます。
EDのことでこのような誤解を避けるためにも、症状について正直に話し、一緒に治療に向けて努力していくと良いでしょう。オープンに話し合うことで親密感は増し、性生活を改善するためにきっと役立ちます。
・自分自身に自信を持つ
心因性EDの男性は、自分に自信がなかったり、ペニスが大きくないことにコンプレックスを感じていることがよくあります。しかし、実際にはペニスの大きさはそれほど重要ではありません。
大多数の女性は、挿入時のセックスの間にオルガスムを感じることは少ないようです。満足のいくセックスをするためには、ペニスの大きさや長さよりもクリトリスに刺激を与える前戯などを行うことが大切です。前戯で十分に女性を興奮させることができたら、挿入時女性にオルガスムを与えることがより簡単になります。
セックスの専門家は心因性EDの男性にセックスへの期待を高く設定しないようにと勧めます。ペニスの大きさや硬さ、強さよりも女性は男性との前触れや抱擁、愛撫などから愛情を感じます。落ち着いてゆっくりと時間をかけて愛情を表現すれば、きっと女性に気持ちが伝わることと思います。
心因性EDの治療には主にカウンセリングや精神分析療法、行動療法などを行う心理療法とED治療薬を処方する薬物療法の2種類の治療方法を両方受けると良いでしょう。
詳細については、「ED(勃起不全)の原因」の記事を参照してください。
勃起は心理、身体、神経、精神の要素が複雑に相互作用をもたらし引き起こされます。
勃起には大きく分かれて2つの種類があります。
1つ目は、身体的な刺激をペニスに与えることで引き起こされる「反射性勃起」です。
2つ目は、性的刺激を視覚、聴覚、嗅覚などから受け男性が興奮することで大脳から勃起中枢へ勃起の司令が伝わり勃起する「中枢性勃起」です。
ペニスの内側には、尿と精液を通す尿道と、海綿体と呼ばれる2つの円柱形の毛細血管が集まったスポンジのような組織があります。
海綿体にそれぞれ1つずつある2つの主要な動脈といくつかの静脈が、陰茎へ血液を出し入れします。神経系は男性の身体の他の部分との間でメッセージの信号のやりとりをします。
勃起は脳からの司令により引き起こされます。男性が見て、感じ、臭いをかいで、聞き、想像した何かから性的な刺激を受け、神経がペニスの血管に化学的なメッセージを送ります。動脈は弛緩して開き、より多くの血液を陰茎に流入させます。同時に、静脈が圧迫され閉じます。血液が動脈を通してペニスに入ると、圧力が海綿体の内部に閉じ込められ、ペニスが拡張して勃起が引き起こされます。
射精されると血液の流入が止まり、静脈が開き血液が流出されていくので、男性のペニスはまた柔らかくなります。
勃起を得るためには、自律神経の中でリラックスしている時に優位になる副交感神経が優位になっている必要があります。
男性の興奮がピークに近づくと、尿道に向かって精管と呼ばれる管が精子を絞り、同時に精嚢が尿道へ精液を放出します。
尿道は精液を感知し性的興奮の高さにより、脊髄に信号を送り、そこから、ペニスの付け根の筋肉に信号を送ります。0.8秒ごとに強力で迅速に筋肉を収縮させ男性がピークに達すると、ペニスから精液が射精されます。
勃起は血管の作用によりもたらされますが、射精は筋肉の作用により引き起こされます。
射精が行われる時には、自律神経の中で、交感神経が優位になっている必要があります。運動神経とは異なり、自律神経は人の意志の力ですべてをコントロールすることができません。故に、射精のタイミングをコントロールすることは容易ではありません。
性機能障害およびEDは男性が加齢するにつれてより増加する傾向があります。年齢が40歳から70歳に増加するにつれて、完全に勃起を得ることができない重度のEDの割合は5%から15%に増加します。
EDは糖尿病、肥満、高血圧の男性や、喫煙している男性により多く見られます。EDは必ずしも年齢が高い男性が患うとは限りませんが、より若い男性ほど、より良い性機能を有することが研究により明らかになっています。
しかし、近年では若い男性も様々な理由によりEDを患うケースが増えている傾向があります。
実際に、男性が年を重ねるほど、EDを患う確率は高くなります。
ある調査結果では、若い男性のおよそ70%以上の方が自分の性機能が良いと感じていると報告しています。およそ10%の男性のみがEDの症状を報告しています。
80歳以上の男性ではおよそ10%のみが、性機能が良いと感じていると報告しています。
高齢でEDを患っている男性の内、およそ25%が50歳から59歳までの間に初めてEDを経験したと報告しており、40%が60から69歳の間に初めてEDを経験したと報告しています。
高齢の男性のEDの原因の中で、男性ホルモンであるテストステロンが低下して引き起こされるLOH症候群を患っている場合は、性欲減退や性機能の低下などの症状を患いやすくなります。テストステロンのレベルは年齢が上がるとともに低下しますので、EDの原因の一つとなります。
健康的なライフスタイルを保ち、慢性疾患のない男性は勃起不全のリスクがより低くなります。定期的に運動を行う男性は、勃起不全のリスクも大幅に低くなります。
肥満、喫煙、そして過度のテレビ視聴もまた、勃起不全のリスクが高くなることに繋がります。
勃起不全は通常、病院での診察を受け、医師の問診と健康診断によりEDと診断されるようになります。
糖尿病や心血管の症状などの慢性的な病気や病歴があるかを医師はまず確認し、必要であれば、さらなる検査を行い、他の病気が原因のEDならば専門医へ紹介することになります。
EDを診断するための検査には以下のようなものが挙げられます。
以上のような検査を行い、原因を突き止めてからEDと診断します。
現在、EDの治し方には様々なオプションが提供されています。EDを患ったら、まずは病院へ行って医師に相談することが大切です。
性機能不全の症状は、より重大な病気の兆候であることがあります。医師のもとでしっかりと検査を受けて、正確な原因を知り、適切な治療への指導を受けるようにしましょう。
医療的なサポートを求めると同時に、EDの原因となっているライフスタイルへ変化をもたらし、心身ともに回復して健康を取り戻すことが大切です。
医師は、EDを改善するために次のようなライフスタイルの変化を促すことがあります。
現在、EDを治療するために最も広く行われている治療方法はバイアグラやシアリスなどのED治療薬を服用することです。
ED治療薬には以下のようなお薬があります:
これらのお薬はすべて、性的刺激の際に陰茎の平滑筋を弛緩させ、陰茎内の血流を増加させることによって作用します。
狭心症などを治療するために服用されるニトログリゼンなどの硝酸塩を服用している場合は、これらED薬と併用してはいけません。硝酸塩は血管を広げてリラックスさせます。これらのお薬を併用すると、血圧が急激に低下させ、失神、めまいなどを引き起こす危険性があります。
前立腺肥大症の治療にα遮断薬を服用している場合は、医師に相談してください。アルファ遮断薬とED薬の併用もまた、血圧を突然低下させる可能性があります。
詳細については、「ED(勃起不全)の治療法とは」の記事を参照してください。
血中にテストステロンのレベルが低い場合、医師がテストステロンを注射剤や外用剤(貼り薬・塗り薬)、経口薬などにより補充する治療を行うことがあります。
テストステロンを補充することはEDを治療するために役立ちますが、EDが循環器系や神経系の症状によって引き起こされている場合は、あまり役に立ちません。
また、テストステロン補充療法を行うと、赤血球数の増加や排尿の問題などの副作用が発生することもあります。
テストステロン補充療法が、加齢性またはLOH症候群に関連するEDを治療することは証明されていません。そのため、医師によって処方されていない限り、テストステロン療法を受けることは避ける必要があります。テストステロン療法は服用している他の薬の働きに影響を及ぼし、深刻な副作用を引き起こす可能性があります。
心因性EDの場合は、カウンセリングに行くなどの心理療法を受けることができます。カウンセラーは、セックスに関する不安やストレスを軽減する方法を教えてくれます。カウンセリングは一人で受けることもできますし、パートナーと一緒に受けることもできます。
他の病気の症状を治療するために服用している薬がEDを引き起こしていることがあります。その場合は、医師が異なるお薬を服用することを提案したり、用量を調節することができます。しかし、医師に相談せずに自己判断でお薬の服用を中止してはいけません。
EDを引き起こす可能性のある医薬品は以下のようなものがあります。
利尿薬、Ca拮抗薬、交感神経抑制薬、β遮断薬
抗うつ薬、抗精神病薬、催眠鎮静薬、麻薬
エストロゲン製剤、抗アンドロゲン薬、LH-RHアナログ、5α還元酵素阻害薬
スルピリド、メトクロプラミド、シメチジン
スタチン系、フィブラート系
ステロイド剤、テオフィリン、β刺激薬、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、プソイドエフェドリン
ペニスにアルプロスタジル(Alprostadil )と呼ばれる薬を注射により注入することによって、より強い勃起を得ることができます。
服用するタイプのED治療薬は性的刺激に対する身体の反応を改善することができますが、注射薬のように自動的に勃起を引き起こすことはできません。
海綿体注射(ICI治療)はED治療薬とは異なり、性的刺激や性的興奮に関わらず勃起させることができます。陰茎の海綿体に髪の毛ほどの太さの細い針で注射をすると5分から10分ほどで勃起します。勃起する確率は98%とかなり高く、副作用もほとんどないとされています。勃起の持続時間はおよそ3時間です。そのため、医療機関で注射をしてからすぐに帰宅して性行為をする必要があります。勃起は射精をした後も続きます。
このような時間的な圧迫を避けたいという方は、自宅で注射をすることもできますが、日本では厚生労働省の認可が降りていない未承認な治療方法であるために、何かあった場合には自己責任になります。医療機関でも扱っていないところが多いのが現状です。
海外では、薬を注射する代わりに、尿道にアルプロスタジルの坐薬を挿入する方法も導入されています。坐剤は体に挿入する固形薬で、挿入後、体内で溶解し効果をもたらします。尿道に2.5cmほどの坐薬はアプリケーターを使用して挿入されます。
通常、勃起は8〜10分以内に始まり、30〜60分続きます。
陰圧式勃起補助具は真空装置を使用して陰茎に血液を引き込むことによって勃起を引き起こします。
陰茎を覆うプラスチックのチューブがあり、ポンプでチューブから空気を吸い出し、真空状態を作ります。
チューブを取り外し、陰茎の付け根をゴムバンドで巻き、血液が体に逆流することを防ぐことによって性交中に勃起を維持することを可能にさせます。ゴムバンドは30分ほどまで使用することができます。その後は通常の血流を回復させ、皮膚の炎症を防ぐためにゴムバンドを外す必要があります。
陰圧式勃起補助具を使いこなすにはいくらかの練習と調整が必要です。この装置を使用すると、陰茎が冷たくなったりしびれたりして紫色になることがあります。装置を使用することで陰茎を傷つける可能性がありますが、あざや痛みはほとんどの場合少なく、数日で消えます。この装置は射精を弱める可能性がありますが、オルガズムの快楽を得るためへの影響はほとんどありません。
EDを患っている男性にとって、手術は最後の手段であるべきです。後戻りができない決断ですので、手術が適しているかどうかについて医師としっかり相談してください。
プロステーシス挿入手術は通常、泌尿器科の医師によって行われます。
手術では陰茎を直立させるための装置を埋め込みます。手術によって埋め込まれた装置は、ED患者が勃起を得るサポートを行います。
2種類の装置があり、陰嚢のポンプを使用して陰茎をより長く大きくさせる膨脹可能なインフレータブル・タイプと、手動で陰茎の位置を調整することで勃起を可能にするノンインフレータブル・タイプがあります。
通常、手術の当日または翌日には退院することができます。手術後4〜6週間で装置を使用することができるようになります。
この手術により起こりうる問題としては、装置の破損や感染などがあります。
海外ではこの他、血流が増えるように動脈へ手術を行う方法も導入されています。
EDを病院で治療する詳細な情報については、「ED(勃起不全)を治療するためのクリニック」の記事を参照してください。
内服するタイプのED治療薬はED(勃起不全)を治療するために最も広く選択されている治療方法です。満足することができるセックスを行うためにしっかりとした勃起を得て、持続させるためにこられのお薬は大きなサポートを行います。ほとんど場合、副作用は軽度のものだとされているので安心して服用することができます。
現在日本で承認されている3種類のED治療薬であるバイアグラ/ Viagra(有効成分 シルデナフィル/ Sildenafil)、レビトラ/ Levitra(有効成分 バルデナフィル/ Vardenafil)、シアリス/ Cialis(有効成分 タダラフィル/ Tadalafil)は、ペニスの筋肉を弛緩させる天然の化学物質である一酸化窒素(NO)の効果を高めることによってペニスへの血流を増加させ勃起を促します。
同時に、勃起を萎えさせてしまう酵素であるPDE5(ホスホジエステラーゼ5)を阻害することで、中折れなど、セックスの最中に勃起が萎えてしまうことを阻止し、射精まで勃起を維持することができるようにサポートします。
3種類のED治療薬はすべて似たような作用をもたらしますが、それぞれの勃起薬は少しずつ異なった化学構造をしています。これらのわずかな違いは、各お薬の効能や効果があらわれる早さや副作用の出方などに影響を与えます。
医師は、患者の健康状態と持病の有無、他に服用しているお薬との相互作用の可能性などを考慮に入れて、患者に最も適したED治療薬を選択し処方します。
勃起時の硬さでは3つのED治療薬の中で一番という評判があります。
服用してから30分ほどで効果があらわれ始め、およそ1時間ほどで血液の中
有効成分の濃度が最高値に達します。
バイアグラは3種類あるED治療薬の中で最も食事の影響を受けやすいお薬でので食後に服用すると効果が半減してしまいます。
食後に服用の際には油分の少ないあっさりした食事を軽くして少なくとも2時間ほど空けてから服用すると良いでしょう。
食前でしたらバイアグラは30分ほどで体内に吸収されるため食前30分〜1時間前までに服用すると、有効成分が吸収された後なので大きな問題には繋がりません。
レビトラはバイアグラに続いて2番目に開発販売された医薬品です。有効成分が水に溶けやすい性質を持っているので速効性があり、服用してから効果が出るまでの時間が空腹時には15〜20分ほどと短くなっています。
服用してから45分ほどで血液の中の有効成分の濃度が最高値に達します。
3つのED治療薬の中で勃起力の力強さでは一番という評判があります。
刺激に対しては鈍感になるために射精までの時間が長くなり、挿入時間が長引く傾向があります。早漏の傾向がある方には推奨されるED治療薬です。
レビトラは食事の影響を受けにくく、食後30分以降からお薬を服用することができます。しかし、食後に服用の際には油分の少ないあっさりした食事を軽くする程度にするようにしましょう。
シアリスは3種類あるED治療薬の中で最も新しいお薬です。24時間〜36時間という長い効果持続時間と食事の影響を受けにくいということから多くの男性たちから人気を得ています。
金曜日の夜に服用すると日曜日までの効果が続くことから、海外では「ウィークエンド・ピル」と呼ばれて親しまれています。
有効成分であるタダラフィルが体内で溶けにくい性質を持っているので、徐々に効き目が体内に回っていきます。勃起の感触も自然で、勃起力へのサポートは弱めになります。
シアリスを服用してから効果があらわれるまでの時間は1〜3時間とされています。余裕を持って性行為の時間の3時間ほど前に服用することが勧められています。
シアリスは食事の影響を受けにくく、800キロカロリーまでの食事なら影響を与えないとされています。しかし、実際のところ空腹時が最も効果がよくあらわれ、食後に服用する際にはあっさりとした食事を腹8分目ほどにすることが推奨されています。
これらのED治療薬は保険が適応されないので、病院で処方されるお薬は高額になります。バイアグラはジェネリック医薬品が日本でも承認されているので、シルデナフィル錠を病院でもより安価で購入することができます。
レビトラ、シアリスは特許期間が日本では満了になっていないため、ジェネリック医薬品を入手するためには医薬品の個人輸入代行サービスを使用する方法があります。
肥満につながる食べ物、栄養素の少ない偏った食事を行うことはEDの可能性を高めることがあります。食事療法を行うと、血液の循環、心臓の健康、精神的な幸福感も促進することができます。
以下のような食品はEDを自然に改善するために役立ちます。
ナッツ、種子、果物、野菜などの高繊維食はEDを改善することができるホルモンの働きを活性化させ、解毒作用をサポートします。
小麦胚芽や緑野菜など、ビタミンEを豊富に含む食事は血流の改善に役立ちます。
カボチャの種、ひまわりの種、チアシード(chia seed)、牛肉、子羊の肉、ほうれん草などの食品はテストステロンの改善に役立つ亜鉛を多く含みます。
クレソンとゴマはどちらも性欲を改善することができる食品です。毎日食べると効果を感じることができるでしょう。
健康的なテストステロンレベルを維持するサポートを行うセレンが豊富に含まれています。
以下にリストされてある食品は、感情的にストレスや不安を増やし、炎症を引き起こし、さらには腸のトラブルを引き起こして栄養素の吸収を妨げる可能性があります。EDの症状を悪化させることがある食品ですので避けるようにしましょう。
炎症を増加させ、EDの根本的な原因を悪化させる可能性があります。
揚げ物、ファーストフード、加工食品に含まれる脂肪は炎症を増加させます。炎症はEDの原因となる症状に悪影響を及ぼします。
これらの食品に含まれている化学物質は性機能に悪い影響を与える可能性があります。
カフェインの過剰摂取は性機能に悪影響を与えます。
お酒を飲みすぎると、疲労を引き起こし、不安や憂鬱感を増やし、ホルモンのバランスを崩したりする可能性があります。
高麗人参 (紅参)はED症状にある程度の改善をもたらすことができるということがわかっています。
L-アルギニンは血管拡張を助け、血流を改善します。
1,000 mgを 1日2回服用することが推奨されています。
イチョウ葉は血流を改善する効果があります。
120ミリグラムを1日2回服用することが推奨されています。
DHEAはテストステロンのレベルを向上させるために役立ちます。
1日に25〜50ミリグラムを服用することが推奨されています。
マカは性欲を高めホルモンのバランスをとることを助けます。媚薬のような効果ももたらすことがあります。
1日500ミリグラムを3回服用することが推奨されています。
ビタミンB3(ナイアシン)は血流を改善し、エネルギーレベルを改善する効果をもたらします。
1日250ミリグラムを3回服用することが推奨されています。
アフリカの樹皮の主成分であるヨヒンビンは、勃起不全を改善できることが報告されています。
ワーキングやヨガ、スポーツなどの運動はすべて血行を大幅に改善し、ストレスを軽減するのに役立ちます。運動を定期的に行うことでEDの発生を減らすために役立ちます。
運動しすぎたり、睡眠不足であったり、仕事が忙し過ぎたりすると、肉体的にも精神的にもストレスになり、コルチゾールとアドレナリンなどの「ストレスホルモン」の増加を引き起こします。ストレスは性欲を低下させる可能性があり、炎症を増加させることによって血流に悪影響を及ぼします。
たばこに含まれるニコチンは血管の収縮を引き起こし、男性の性機能に悪影響を及ぼします。性欲の低下やテストステロンの減少も引き起こします。
詳細については、「ED(勃起不全)の自然療法」の記事を参照してください。
EDを治療するために最もポピュラーな運動はケーゲル運動と呼ばれているエクササイズです。EDのみならず、早漏にも効果を示す運動です。
ケーゲル運動を行うためには、まず、骨盤底(下の骨盤)の筋肉がどこなのかを見つける必要があります。
そのための最善の方法は、排尿の途中で数回、尿の流れを止めることです。尿の流れを止める使う筋肉がケーゲル運動を行うために必要になる筋肉です。
ケーゲル運動では、この筋肉を絞って5秒間キープしてから脱力してリラックスします。
このサイクルを10〜20回セットで、1日に2〜3回繰り返します。
膝を立てて寝たままのポジション、椅子に座ったポジション、立ったポジションでケーゲル運動をするなど、さまざまな姿勢でこのエクササイズを試すことができます。
慣れてきたら骨盤底と共に、肛門も一緒に使ってエクササイズをするとより効果的です。
EDを治療するために効果的だとされている運動は以下のようなものです。
詳細については、「エクササイズとED(勃起不全)」の記事を参照してください。
精力剤や漢方薬を長期的に毎日服用すると体質改善に繋がり、EDを改善することに繋がります。ED治療薬のように即効的な効果はあまり期待できませんが、より自然な方法で体質を根本から回復させるので、健康全般を改善させることができます。
精力剤の効果と効用としては 「血管を広げて血流を良くする」、「精力を向上させて勃起力を高める」、「精液を多くする」などがあります。
長い間根気よく飲み続けていると徐々に体質が改善されていくので、運動やライフスタイルを変化させる努力と共に服用すると良いでしょう。
エネルギーの詰まりを除去するために細い針を体に刺して治療する東洋医学の治療方法は、近年欧米でもED治療の有効な方法と注目されるようになりました。
ED(勃起不全)に悩み始めたら、まずは病院に行って医師のもとで検査を受けて適切な治療方法を指導してもらうと良いでしょう。
その他にも、近年ではたくさんの代替的治療方法が提供されていますので、ライフスタイルの変化や適度な運動を行うなど、日常生活の努力と一緒に様々なオプションを試してみることをおすすめします。
みなさまの症状が回復し、より充実した性生活を送ることができるようにお手伝いすることができましたら幸いです。