クラリスロマイシン(Clarithromycin)は、細菌が増えるのを阻止する抗菌薬です。さまざまな細菌を原因とする感染症の治療に効果を発揮します。クラリスロマイシンはマクロライド系抗生物質の一種で、昨今の研究で抗微生物活性や抗炎症作用、免疫調整作用が注目されています。
クラリスロマイシンはマクロライド系に分類される抗生物質です。肺炎などの呼吸器系感染症を引き起こす細菌マイコプラズマや、性感染症の原因となるクラミジアなどに高い抗菌作用をあらわします。
クラリスロマイシンは細菌に効果のある薬です。細菌による皮膚感染症や性感染症、呼吸器感染症、歯科でも多く処方されます。
クラリスロマイシンなどのマクロライド系の抗生物質は、細菌が生命維持に必要なタンパク質合成を邪魔することで、増殖を抑える効果があります。
また、クラリスロマイシンは抗菌作用以外にも、免疫の調整や炎症を抑制する作用などが知られています。さらに、抗ウイルス作用やびまん性細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患に有効であることが臨床結果として報告されています。
クラリスロマイシンの特徴についてこちらの動画で詳しく解説されています。作用を深く知りたい方はご参照ください。
クラリスロマイシンの効能
一般感染症 | 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管炎・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、咽頭炎・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頚管炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎 |
非結核性抗酸菌症 | マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症 |
ヘリコバクター・ピロリ感染症 | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎 |
クラリスロマイシンの効果が何日で出るかは、疾患により異なります。
例えば、クラミジア感染症では、原則として14日間の服用とされています。また、ヘリコバクター・ピロリ感染症では7日間とされています(3剤を同時に)。軽症ないし中等症のレジオネラ肺炎では、通常2〜5日で症状は改善に向かいますが、症状が良くなっても2〜3週間継続して服用することが望ましいとされています。
必要に応じて服用期間が延長されることもあります。症状が良くなったように感じても細菌が生き残っている場合があるので、必ず医師の指示された期間を飲みきることが大切です。
クラリスマイシンには飲み合わせの悪い薬があります。一緒に飲んでしまうと作用の減弱、副作用の増強などリスクがありますので、服用中の薬がある方は必ず薬剤師・医師に伝えることが重要です。
併用禁忌の薬:
ピモジド、エルゴタミン含有製剤、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル(アドシルカ)、チカグレロル、イブルチニブ、アスナプレビル、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩
その他の禁忌:
この薬に含まれる成分に過敏症の既往歴のある患者は服用できません。
肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンが投与されている患者は使用できません。
妊婦・産婦の使用は禁止されています。
主な副作用は低カリウム血症、肝炎、貧血、下痢、過敏症、そう痒、そう痒感、眩暈、頭痛、不眠、幻覚などが報告されています。
参照リンク: