ピトシン – オキシトシン注射液

◆ピトシンの効果効能

ピトシンは有効成分オキシトシンを含み、子宮筋に作用して律動的な収縮を起こさせることで分娩を誘発・促進し、子宮収縮不全に伴う出血の治療にも用いられます。

具体的には、分娩誘発や微弱陣痛の改善、弛緩出血の止血、胎盤娩出前後・子宮復古不全・帝王切開術（胎児娩出後）・流産・人工妊娠中絶の場面で子宮収縮を促す目的で使用されます。薬理作用としては乳管平滑筋を収縮させて射乳を促進する作用もあります。

◆ピトシンの使用方法

日本で承認されているオキシトシン注射液の用法・用量は次のように定められています。

● 分娩誘発、微弱陣痛【点滴静注法】
オキシトシン5〜10単位を5％ブドウ糖注射液（500mL）などによく混ぜ合わせ、点滴速度を1〜2ミリ単位/分から開始。陣痛発来状況および胎児心拍などを観察しながら適宜増減。点滴速度は20ミリ単位/分を超えないようにする。

● 弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、流産、人工妊娠中絶
【点滴静注法】
オキシトシン5〜10単位を5％ブドウ糖注射液（500mL）などによく混ぜ合わせ、子宮収縮状況などを観察しながら適宜増減。
【静注法】※弛緩出血及び胎盤娩出前後の場合
5〜10単位を静脈内にゆるやかに注射。
【筋注法】
5〜10単位を筋肉内にゆるやかに注射。

● 帝王切開術（胎児の娩出後）
【点滴静注法】
オキシトシン5〜10単位を5％ブドウ糖注射液（500mL）などによく混ぜ合わせ、子宮収縮状況等を観察しながら適宜増減。
【筋注法】
5〜10単位を筋肉内にゆっくり注射。
【子宮筋注法】
5〜10単位を子宮筋層内へ直接投与。

◆ピトシンの副作用

副作用は、頻度は不明ですが、過敏症状、新生児黄疸、不整脈、ST低下、一過性血圧下降、血圧上昇、悪心、嘔吐、疼痛、硬結、水中毒症状などが報告されています。

重度の副作用は、過強陣痛、子宮破裂、頸管裂傷、羊水塞栓症、微弱陣痛、弛緩出血などがあらわれることがあります。

◆ピトシン使用上の注意

ピトシンは、分娩監視装置で母体・胎児を連続監視できる施設で、分娩管理に熟達した医師の管理下で使用してください。プロスタグランジン製剤との同時併用は禁忌で、前後投与も間隔を置いて厳重に監視します。

過敏症、児頭骨盤不均衡や横位、前置胎盤、常位胎盤早期剥離（胎児生存時）、重度胎児機能不全、過強陣痛・切迫子宮破裂、頸管拡張材挿入直後、レボスパ投与中は投与しません。