リオチロニンナトリウムとは

リオチロニンナトリウムは、甲状腺ホルモンのうちT3(トリヨードチロニン)を有効成分とする医療用医薬品です。T3は甲状腺ホルモン作用の活性型として、全身の代謝や臓器機能(心血管・消化管・脂質/糖代謝・体温調節など)に広く関与します。

甲状腺ホルモン補充療法の標準は一般にレボチロキシン(T4)ですが、リオチロニン(T3)は薬理学的に「効き始めが速い」「持続が比較的短い」という性質を持つため、患者背景や目的がはっきりした場面で慎重に使い分けられる薬です。

日本では、代表的な製剤としてチロナミン錠(5μg/25μg)が知られています。

リオチロニンナトリウムの作用機序

T3は、標的細胞内で甲状腺ホルモン受容体に結合し、遺伝子発現を介して多様な生理作用を発揮します。臨床的には、甲状腺ホルモンが不足している状態(甲状腺機能低下症など)に対して、不足分を補って症状と検査値を適正化することが目的になります。

T3製剤としての特徴

  • 効果発現が速い:体感・循環動態に影響が出るのが比較的早い。
  • 持続が短めで“波”が出やすい:過量や増量ペースが速いと動悸・不眠などが出やすい。
  • 心血管系への影響に注意が必要:特に高齢者や心血管疾患がある場合は少量から慎重に。

リオチロニンナトリウムの効果・適応

チロナミン錠の効能・効果

  • 粘液水腫
  • クレチン症
  • 甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)
  • 慢性甲状腺炎
  • 甲状腺腫
これらは、甲状腺ホルモン不足や甲状腺疾患に伴う症状・検査異常の改善を目的に使用されます。

リオチロニンナトリウムを有効成分とする代表的な医薬品

医療用

チロナミン錠 5μg/25μg

1錠中:リオチロニンナトリウム5μgまたは25μg

ジェネリック医薬品

リオサイトメル - リオチロニンナトリウム(Liothytomel - Liothyronine Sodium)

リオサイトメル – リオチロニンナトリウム

リオサイトメルは、フィリピンの製薬会社ロイドラボラトリーズが製造する甲状腺ホルモン製剤で、有効成分リオチロニンナトリウム(T3)を補うことで代謝・エネルギー産生を促進し、甲状腺機能低下に伴う症状の改善をサポートするお薬です。
リオサイトメルは有効成分として、リオチロニンナトリウムを1錠あたり25mcg含有しており、1箱90錠入りです。

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使い方(投与設計の考え方)

※ここでは一般的な考え方を示します。実際の用法用量は必ず医師の指示に従ってください。

日本の添付文書に基づく用法用量(成人)

  • 初回量:リオチロニンナトリウムとして1日5〜25μg
  • 増量:1〜2週間間隔で少しずつ増量
  • 維持量:1日25〜75μg(年齢・症状により適宜増減)
添付文書上も「他の甲状腺ホルモン製剤より効果の発現が早く持続が短い」点を踏まえて投与すること、また甲状腺機能低下症や粘液水腫では少量から開始して漸増することが明記されています。

モニタリングの基本

  • 症状の改善(倦怠感、寒がり、むくみ、便秘、徐脈など)
  • 甲状腺機能検査(TSH、FT4、FT3など)
  • 副作用サイン(動悸、不眠、焦燥、手の震え、体重減少、発汗増加など)

リオチロニンナトリウムの副作用

副作用の多くは、甲状腺ホルモン作用が過剰になったときの「医原性甲状腺機能亢進」として現れます。

よく問題になりやすい症状

  • 動悸、頻脈、胸部不快感
  • 不眠、焦燥感、振戦(手の震え)
  • 発汗増加、暑がり
  • 下痢、体重減少など

特に注意すべきリスク

  • 心血管系:高齢者、狭心症、心筋梗塞既往、不整脈などがある場合はリスクが上がるため、少量開始・慎重増量が重要
  • 骨代謝:過補充が長期に続くと骨密度低下につながり得るため、最少有効量が原則

最近の話題:T3(リオチロニン)併用療法は誰にでも必要?

「TSHは基準範囲でも体調が戻らない」という訴えは一定数存在し、T4単独ではなくT4+T3併用が議論されることがあります。
ただし、国際的なガイドラインでは、現時点で「代替療法が一貫して優れる」という強い根拠は確認されておらず、標準治療はレボチロキシン(T4)という整理が基本です。
一方で英国のコンセンサスでは、条件を満たした患者で限定的・慎重な試行を検討しうる一方、安全性(心血管・骨)と過量リスク、適正な評価手順の重要性が強調されています。

他の甲状腺ホルモン製剤との比較

項目レボチロキシン(T4)リオチロニン(T3)T4+T3併用
位置づけ標準治療(第一選択)目的が明確な場面で選択される一部で検討されるが議論あり
作用の立ち上がり比較的ゆるやか比較的速い速さは出やすいが調整が難しいことも
血中濃度の安定性安定しやすい変動しやすい(波が出やすい)変動リスクが上がりやすい
安全性の論点長期データが豊富過量時の心血管リスク等に注意適正用量・評価手順が重要
典型的な使い分け甲状腺機能低下症の基本切替・特殊状況などで慎重に使用症状が残る一部症例で、専門的管理下で検討されることがある

使用上の注意点

1) 単純な減量目的には使わない

甲状腺ホルモン製剤は、減量目的での使用が重大な健康被害につながり得ます。海外添付文書でも「肥満治療・体重減少目的に用いない」旨が明確に警告されています。

2) 禁忌・慎重投与になりやすい背景

日本の添付文書では新鮮な心筋梗塞が禁忌です。また、狭心症や陳旧性心筋梗塞など重篤な心血管系疾患がある場合、投与が必要でも 少量開始・ゆっくり増量・最少必要量 が求められます。副腎皮質機能不全などがある場合も、先にそちらの補正が必要になることがあります。

3) 併用薬

抗凝固薬、糖尿病治療薬、交感神経刺激薬などは相互作用上の論点になり得るため、併用中の薬は必ず医師・薬剤師に共有することが重要です。

入手方法

日本国内のリオチロニンナトリウム製剤(例:チロナミン錠)は処方箋医薬品です。ただし、リオサイトメルは個人輸入で海外からの購入が可能です。
甲状腺ホルモンは「不足を補う」一方で、「過量」になると全身へ影響が及ぶため、自己判断での開始・増減量は避け、医師の診断と定期フォローのもとで使用する必要があります。

まとめ

リオチロニンナトリウムは、甲状腺ホルモンT3を補う薬剤で、作用発現が比較的速いという強みがある反面、過量のリスク管理が難しく、特に心血管系・骨代謝への注意が必要な薬でもあります。
標準治療としてはT4(レボチロキシン)が中心で、T3製剤は「必要性が明確な状況で、専門的に用量調整・モニタリングしながら使う」この基本姿勢が、品質の高い医療情報として最も重要なポイントです。

参照:

日本薬局方 リオチロニンナトリウム錠:一般財団法人日本医薬情報センター
チロナミン:kegg
甲状腺機能低下症におけるリオチロニン(T3)の使用:pubmed
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