世界各国で長年使用されてきたヒドロキシクロロキンは、日本でも近年承認され、古くて新しい薬です。最近では新型コロナの治療薬候補に挙げられていたことで注目を集めました。
自己免疫疾患やマラリアの治療薬として知られるヒドロキシクロロキンの効果や副作用、用量用法について、わかりやすくまとめました。
参照元:Hydroxychloroquine Market - Global Industry Assessment & Forecast
ヒドロキシクロロキン(Hydroxychloroquine)は、自己免疫疾患(免疫に異常が生じて自分自身の体の一部を攻撃してしまう病気)の治療に用いられる「免疫調整剤」と言われる薬の成分です。自己免疫疾患は年々増加しており、治療薬であるヒドロキシクロロキンの需要はますます高まると予想されています。
ヒドロキシクロロキンは1955年にアメリカで承認され、世界70カ国以上で長年使用されてきた薬です。日本では承認されたのは2015年と比較的最近になります。「プラケニル錠」という商品名でフランスの製薬会社サノフィが先発薬を発売しています。同じヒドロキシクロロキンを配合したジェネリック薬も各国で販売されています。
● 抗炎症作用・・・炎症を鎮める
● 免疫調整作用・・・異常な免疫を正常化させる
● 抗マラリア作用・・・マラリア感染症の治療や予防
ヒドロキシクロロキンの適応症は各国の承認状況により異なります。全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、関節リウマチ、その他の膠原病の皮膚症状、関節症状など、さまざまな治療に用いられます。
昨今では新型コロナウイルス感染症の治療薬として治験が行われ、ヒドロキシクロロキンが注目を集めていますが、有効性は承認されていません。
日本で承認されているヒドロキシクロロキンの用法は、身長に基づいて計算されます。
通常、ヒドロキシクロロキン200mgまたは400mgを1日1回食後に服用します。
計算方法
患者 | 理想体重 |
---|---|
女性 | (身長cm −100)× 0.85 |
男性 | (身長cm −100)× 0.90 |
例えば150cmの女性の場合、(150-100)×0.85=42.5kgとなり、1日1回200mgを服用します。
● 理想体重が31kg〜46kgの場合、1日1回200mgを服用
● 理想体重が46kg〜62kgの場合、1日1回200mgと1日1回400mgを1日おきに服用
● 理想体重が62kg以上の場合、1日1回400mgを服用
疾病や症状など諸条件により用量用法が異なる場合がありますので、医師の指示に従って服用します。
ヒドロキシクロロキンは副作用が少ない薬として知られています。主な副作用は下痢、腹痛、便秘、胃腸炎、口唇炎、鼓腸、胃食道逆流性疾患ですが、内服しているうちに改善する、または食事と一緒にとると改善することもあります。
頻度はまれですが、網膜障害を含む眼障害(網膜症、黄斑症、黄斑変性)の発現リスクがあり、用量を超えるとリスクが高まることが報告されています。
飲み合わせが悪いとして禁止されている薬はありませんが、併用注意の薬はあります。服用中の薬やサプリメント、ハーブなどある場合は、安全のために主治医に伝えることが大切です。
参考リンク