歴史を通じて、大麻(マリファナ)は民間療法のための薬草として役立ってきました。しかし、現代の西洋医学が台頭してからは、科学的証拠が不十分なため、医学界ではほとんどその治療的価値が認定されていませんでした。
史上初めて、大麻の医療用途への研究を行った先駆者はアイルランドの医師で医学研究者のウィリアム・B・オショーネシー(William B. O’Shaughnessy)です。オショーネシーは1839年に大麻の治療効果を調査した研究を発表し、大麻の医療への応用を試み始めました。
その後、オショーネシーは調査を続け、特に麻酔薬としての潜在的な医療用途を徹底的に研究しました。
CBDの基本情報は「CBD」の記事をご参照ください。
オショーネシーが研究を発表してからほぼ1世紀後、積み重ねられた研究と科学技術の進歩により、大麻の化合物の存在が明らかになり始めました。
カンナビノイドの最初の発見は、英国の化学者であるロバートS.カーン(Robert S. Cahn)がカンナビノール(CBN)の部分構造を報告した際に認識されるようになりました。
その2年後、アメリカの化学者であるロジャーアダムス(Roger Adams)は、最初のカンナビノイドであるカンナビジオール(CBD)の分離に成功しました。彼の研究は、テトラヒドロカンナビノール(THC)の発見にも関与しています。
大麻の研究の初期段階では、科学者のカンナビノイドの構造に関する知識が限られており、植物に含まれる生物学的組成についての理解が深くありませんでした。
そのため、当時はどの化合物が、それぞれどのような効果を引き起こしてい
そんな時世に、ラファエル メチョウラム(Raphael Mechoulam)博士は、1963年にCBDの立体化学を見つけることに成功しました。これにより、一つ一つのカンナビノイドの効果を理解することに向けた最初の大きな一歩を踏み出したことになります。
1年後、メチョウラム博士はTHCの立体化学を発見し、マリファナを使用する際に、幻覚などを引き起こす向精神作用とTHCとの直接的な関係を明らかにしました。
大麻の治療効果への研究が進むにつれて、1978年にニューメキシコ州で、医療用大麻を合法的に認める法案が規制薬物治療法で可決しました。大麻の医療における合法化は画期的な出来事となりました。
その後もメチョウラム博士と彼のチームが催眠薬としてのてんかんの治療にCBDを適用する可能性に関する研究を行ったため、1980年代も研究は大きく前進することになります。
この研究において、メチョウラム博士のチームは8人の被験者のグループに300mgのCBDを毎日摂取するように指示しました。治療が始まってわずか4か月後、被験者の半数の発作がおさまり、他の半数の被験者は発作の頻度が減少しました。
残念なことにこの研究結果は、当時の大麻に対する偏見のために、広く公表されていませんでした。
しかし、10年も経たないうちに、カンナビノイドの治療用途への関心が高まり、さらに多くのカンナビノイドが発見され、カンナビノイド構造がより明らかになりました。また、内因性カンナビノイドシステム(ECS)の驚くべき作用が明らかになり、メカニズムの理解が進むことになります。
さらなる研究が進むにつれて製品開発が進み、最終的に全米で大ブームが巻き起こるようになったのです。
詳しくは、「世界のCBDの法的位置:アメリカ、ヨーロッパ、カナダでは合法?それとも違法?」の記事もご参照ください。
日本では欧米よりも少し遅れて、CBDブームが2019年から到来しました。
東京にもCBDを取り扱うストアーが増えてきており、CBDコーヒーなどを販売する店舗も登場してきました。
アメリカでは2024年までにCBDに関わるビジネスが200億ドルまで成長することが見込まれています。
大麻取締法が厳しい日本でもTHCのレベルが0.03%以下で、茎と種子から抽出されたCBD製品なら合法で販売が認められています。これから更なる飛躍が期待できそうです。
参照:https://medium.com/cbd-origin/the-history-of-cbd-a-brief-overview-68545c05ccc9