
バラシクロビルは、抗ヘルペスウイルス薬として使われる成分です。先発品は「バルトレックス」として販売されており、単純ヘルペスウイルス(1型・2型)や水痘・帯状疱疹ウイルスに対する治療薬として、医療機関で処方されています。
バラシクロビルは、既存の抗ウイルス薬アシクロビルに、アミノ酸の一種であるバリンを結合させたプロドラッグです。体内に吸収された後、肝臓で分解されてアシクロビルに変換され、抗ウイルス作用を発揮します。バリンとの結合により吸収率が高められているため、アシクロビルを直接内服するよりも効率よく体内に取り込まれる特徴があります。
医薬品としての扱いは、国や地域によって共通しており、日本・欧米ともに医師の処方箋を必要とする医療用医薬品です。市販(OTC)されているものではありません。
バラシクロビルは、体内でアシクロビルに変換された後、ヘルペスウイルスの増殖に必要なDNA合成を阻害することで、ウイルスの増殖を抑える方向に作用します。
すでに皮膚にできた水疱や炎症を直接消す薬ではなく、ウイルスの増殖を抑えることで症状の悪化を防ぎ、治癒までの期間を短くすることを目的として使用されます。そのため、症状が出てからできるだけ早く、目安として48時間以内に服用を開始することが効果を得るうえで重要とされています。
作用の流れ
内服(小腸のペプチドトランスポーターPEPT1で吸収)
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肝臓でエステラーゼにより加水分解
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活性代謝物アシクロビルに変換
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ヘルペスウイルスのDNA合成を阻害
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ウイルスの増殖を抑制し、症状の悪化を防ぐ

バラシクロビルは経口薬(錠剤)で、添付文書上の成人の用法・用量の目安は、疾患によって次のように定められています。
実際の用量・服用期間は、年齢、体重、腎機能、既往歴などにより医師が個別に判断します。上記はあくまで一般的な目安であり、自己判断での服用量の変更は避けてください。
服用期間の目安は疾患によって異なり、単純疱疹は通常5日間(初発の性器ヘルペスは最長10日間)、水痘は成人5〜7日間・小児5日間、帯状疱疹は7日間程度が標準的とされています。効果は発症早期ほど高く、帯状疱疹は皮疹出現後5日以内、水痘は2日以内に服用を開始することが望ましいとされています。
なお、再発を繰り返すヘルペスに対しては、医師があらかじめ処方した薬を、症状の前兆(ピリピリ感など)が出た時点で患者自身が服用を開始する「PIT療法(患者自己開始療法)」という枠組みが用いられることもありますが、これも医師の処方・指示のもとで行われるものです。

バラシクロビルでは、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、腹部の不快感、発疹、じんましん、かゆみ、光線過敏症、肝機能検査値の上昇などが報告されています。
頻度は高くないものの、注意が必要な重大な副作用として、急性腎障害などの腎機能障害、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、意識障害・昏睡・せん妄・妄想などの精神神経症状のほか、アナフィラキシー、重篤な皮膚障害(中毒性表皮壊死融解症・皮膚粘膜眼症候群)、間質性肺炎、肝炎・黄疸、急性膵炎なども、まれではありますが報告されています。
副作用の出方は、年齢、腎機能、用量、併用薬によって異なります。気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、服用を中止したうえで医師や薬剤師に相談してください。

1)腎機能に応じた用量調整
バラシクロビルは主に腎臓から排泄されるため、腎機能に応じて用量を調整する必要があります。腎機能が低下している方や高齢の方は、通常量でも血中濃度が上昇しやすく、副作用のリスクが高まることがあります。
2)精神神経症状(アシクロビル脳症)
過量投与や、腎機能低下時の用量調整が不十分な場合、意識障害、せん妄、妄想などの精神神経症状が現れることがあります。症状に気づいた場合は、速やかに医師に連絡してください。
3)過敏症の既往がある場合
本剤またはアシクロビルに対して過敏症の既往歴のある方は使用できません。
4)他の薬剤との相互作用
腎臓に負担のかかる薬剤(腎毒性のある薬剤)と併用すると、腎機能障害のリスクが高まることがあります。服用中の薬がある場合は、必ず医師・薬剤師に申告してください。
5)妊娠・授乳
妊娠中の使用は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合に限られます。授乳中の方も、活性代謝物であるアシクロビルが母乳中へ移行することが報告されているため、使用前に医師へ相談してください。
6)自己判断での中断・増量を避ける
症状が改善しても、指示された期間は服用を継続してください。自己判断での中断や増量は避け、疑問がある場合は医師・薬剤師に相談しましょう。
7)脱水と水分補給
脱水状態は腎機能低下のリスクを高めるため、服用中は十分な水分補給を心がけてください。特に腎機能が低下している方、高齢者、水痘の患者は注意が必要です。
バラシクロビルは、単純疱疹・帯状疱疹・水痘・再発抑制のいずれにも適応を持つ一方、腎機能に応じた用量調整が必要という特徴があります。同じ抗ヘルペスウイルス薬には、アメナメビル(アメナリーフ)やファムシクロビル(ファムビル)などがあります。
| 項目 | バラシクロビル | アメナメビル(アメナリーフ) | ファムシクロビル(ファムビル) |
| 主な代謝 | 肝臓でアシクロビルに変換/腎排泄 | 主に肝臓 | 肝臓でペンシクロビルに変換 |
| 日本での代表的適応 | 単純疱疹、帯状疱疹、水痘、性器ヘルペス再発抑制 | 帯状疱疹、再発性単純疱疹(PIT療法) | 帯状疱疹、単純疱疹(PIT療法対応) |
| 特徴 | 適応範囲が広い | 腎機能低下患者にも使用しやすいが食後服用が必須 | PIT療法にも対応 |
| 注意点 | 腎機能、高齢者、精神神経症状 | 空腹時は効果が弱まる | 腎機能、高齢者 |
※ 実際にどの薬が適しているかは、疾患の種類、腎機能、他の服用薬との兼ね合いなどによって異なります。自己判断で選ばず、医師の診断のもとで処方を受けてください。
日本では、バラシクロビルはバルトレックス(先発品)および複数の後発品として承認されている医療用医薬品です。処方箋医薬品のため、入手には医師の診断が必要です。
海外でも、米国・欧州など多くの国でValtrex(バラシクロビル)として販売されていますが、同様に処方箋医薬品として扱われており、OTC(市販薬)として販売されている国は限定的です。
海外の医薬品は個人輸入という形で入手できますが、正規品かどうかの確認、体調・腎機能を確認しないままの自己判断での使用にはリスクが伴います。疑わしい症状や既往歴がある場合は、事前に医師・薬剤師へ相談することが大切です。
当サイトでは、以下のバラシクロビル含有製品を取り扱っています。
| 商品名 | バルクロビル | バルシビル |
|---|---|---|
| パッケージ | ![]() | ![]() |
| 有効成分含有量 | 500mg・1000mg | 500mg・1000mg |
| 製造元 | ヒーリングファーマ(Healing Pharma) | シプラ(Cipla) |
| 生産国 | インド | インド |
| 商品詳細ページ | 商品ページへ | 商品ページへ |
バラシクロビルは、単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスに対して用いられる抗ウイルス薬で、ウイルスの増殖を抑えることで症状の悪化を防ぎ、治癒を早める目的で使用されます。
一方で、腎機能障害や精神神経症状などの副作用が起こることもあり、腎機能に応じた用量調整が重要な薬剤でもあります。医療用医薬品であるため、使用にあたっては必ず医師の診断と処方を受け、指示された用法・用量を守ることが大切です。体調に変化があった場合は、自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関に相談してください。
医療用医薬品:バラシクロビル(KEGG)
ヘルペス感染症治療薬の解説:日経メディカル
バラシクロビル錠500mg「サワイ」
バルトレックス錠500 添付文書(グラクソ・スミスクライン株式会社/PMDA)