お知らせ
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カナグリフロジンとは

要点

  • カナグリフロジンは、腎臓での糖の再吸収を抑え、余分な糖を尿中へ排泄させるSGLT2阻害薬です。
  • 日本での適応は「2型糖尿病」と「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」の2つ。1型糖尿病には使用しません。
  • 用法は通常、100mgを1日1回、朝食前または朝食後。日本ではカナグル錠100mg/カナグルOD錠100mgとして流通しています。
  • インスリン分泌に依存しない作用のため単独では低血糖を起こしにくい一方、脱水・ケトアシドーシス・尿路/性器感染といったSGLT2阻害薬特有の注意点があります。

カナグリフロジンは、SGLT2阻害薬に分類される経口の2型糖尿病治療薬です。日本では代表製剤としてカナグル錠100mg/カナグルOD錠100mgが知られており、有効成分はカナグリフロジン水和物です。

日本の電子添文では、効能・効果として「2型糖尿病」と「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」が記載されています。ただし慢性腎臓病については、末期腎不全または透析施行中の患者は除くとされています。

SGLT2阻害薬の特徴は、インスリン分泌を直接増やす薬ではないという点にあります。腎臓での糖の再吸収を抑えて余分な糖を尿へ排泄させることで血糖を下げるため、単独使用では低血糖リスクが比較的低くなります。その一方で、尿糖が増えることに伴う尿路・性器感染、浸透圧利尿による脱水、ケトアシドーシスなど、この系統ならではの注意点が生じます。

カナグリフロジンの作用機序

カナグリフロジンは、腎臓の近位尿細管に存在するSGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)を阻害します。SGLT2は、糸球体でろ過されたグルコースの大部分を血液中へ再吸収する役割を担うタンパク質です。

この再吸収を薬剤が抑えることで、血液中に過剰に存在するグルコースが尿糖として排泄され、血糖低下作用が現れます。インスリンの働きを介さずに血糖を下げる点が、他系統の薬剤との決定的な違いです。

作用の流れ

❶ 腎臓の近位尿細管で、SGLT2がグルコースを再吸収している

❷ カナグリフロジンがSGLT2を阻害する

❸ グルコースの再吸収が抑えられる

❹ 余分な糖が尿中へ排泄される

❺ 血糖低下作用を示す

❻ ナトリウム再吸収抑制などを介して、腎保護作用にも関与すると考えられる

腎保護作用が期待される背景

2型糖尿病を合併する慢性腎臓病においては、ナトリウム再吸収の抑制により遠位尿細管へのナトリウム送達が増え、糸球体内圧の低下や尿中アルブミン排泄増加の抑制につながると考えられています。

電子添文では、これに加えてポドサイト脱落の抑制、メサンギウム領域拡大の抑制、尿細管の低酸素ストレス軽減による腎炎症の抑制なども挙げられており、単一の経路ではなく複合的に腎保護へ働くことが推定されています。

使い方

通常、成人にはカナグリフロジンとして100mgを1日1回、朝食前または朝食後に経口投与します。

カナグルOD錠は口腔内崩壊錠であり、舌の上で唾液により崩壊するため水なしでも服用可能ですが、水で服用することもできます。ただし電子添文では、寝たままの状態では水なしで服用させないことが記載されています。

カナグリフロジンの副作用

副作用は軽微なものから重篤なものまで幅があります。実際に判断しやすいよう、ここでは「比較的みられる症状」と「すぐに医療機関へ相談すべき症状」に分けて整理します。

比較的みられる症状

電子添文の副作用表には、以下のような副作用が記載されています。多くは作用機序(尿糖が増える/尿量が増える)から説明できるものです。

  • 頻尿、多尿、口渇
  • 尿路感染、膀胱炎
  • 外陰部腟カンジダ症、性器カンジダ症、カンジダ性亀頭炎
  • 浮動性めまい、体位性めまい、頭痛
  • 便秘、悪心
  • 高カリウム血症、高尿酸血症、ケトーシス、食欲減退
  • 赤血球増加症

米国ラベルでは、発現頻度5%以上の主な副作用として女性性器真菌感染、尿路感染、排尿増加が示されています。

特に注意すべき重篤な症状

次のような症状があらわれた場合は、自己判断で様子を見ず、速やかに医師・薬剤師へ相談してください。

  • 悪心、嘔吐、腹痛、倦怠感、呼吸苦 → ケトアシドーシスの可能性
  • 発熱、背部痛、排尿痛 → 腎盂腎炎の可能性
  • 外陰部・会陰部の痛み、腫れ、発赤、全身倦怠感 → フルニエ壊疽の可能性
  • 強い口渇、多尿、頻尿、血圧低下 → 脱水の可能性

使用上の注意点

投与の可否に関わること

  • 1型糖尿病には使用しません。2型糖尿病と診断された患者にのみ使用します。
  • 食事療法・運動療法が前提です。これらを十分に行っても効果が不十分な場合に限り考慮します。
  • 高度腎機能障害・透析中の末期腎不全には使用しません。血糖低下作用が期待できないためです。中等度腎機能障害でも効果が十分に得られない可能性があり、投与の必要性を慎重に判断します。
  • CKD適応では、eGFR 30mL/min/1.73m²未満に新規投与しません。投与中に30未満へ低下した場合も、継続の必要性を慎重に判断します。

検査・併用薬に関わること

服用中は作用機序により尿糖が陽性となり、血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)が低値を示すため、これらは血糖コントロールの指標として使えません。他院での検査時には、服用中である旨を伝えてください。

併用注意として、リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール、リトナビルなどはUGT1A9・UGT2B4を誘導し、カナグリフロジンの代謝を促進してCmaxおよびAUCを低下させます。また、ループ利尿薬・サイアザイド系利尿薬などとの併用では利尿作用が増強されるおそれがあります。

他の糖尿病薬との違い

項目カナグリフロジン
(SGLT2阻害薬)
DPP-4阻害薬GLP-1受容体作動薬インスリン/SU薬
血糖を下げる仕組み腎臓での糖の再吸収を抑え、尿へ捨てるインクレチンの分解を抑え、分泌を促すGLP-1受容体を直接刺激するインスリンを補う/分泌を促す
インスリン分泌への依存依存しない(インスリン非依存的)血糖依存的に分泌を促す血糖依存的に分泌を促す直接的に依存する
単独使用時の低血糖比較的少ない(併用薬により増加)比較的少ない比較的少ない起こしやすい
体重への影響尿糖排泄によりエネルギーが失われる中立的とされる減少方向に働くことがある増加しやすい
特有の注意点脱水、ケトアシドーシス、尿路・性器感染、腎機能、下肢切断リスク膵炎など消化器症状、膵炎など低血糖、体重増加
腎・心血管領域2型糖尿病を合併するCKDにも適応あり薬剤により異なる薬剤により心血管・腎アウトカムの報告あり病態により必須

入手方法

日本では、カナグリフロジンは処方箋医薬品として、医師の診断・管理のもとで使用されます。製剤はカナグル錠100mg/カナグルOD錠100mgで、通常は100mgを1日1回、朝食前または朝食後に服用します。

海外ではINVOKANA(有効成分:canagliflozin)として承認されており、米国ラベルでは成人および一部小児の2型糖尿病、糖尿病性腎症などに関する情報が整理されています。心血管・腎アウトカムに関する臨床試験データがラベル上に反映されている点が、日本の電子添文との主な違いです。

日本で承認されている医薬品

  • カナグル錠100mg
  • カナグルOD錠100mg

PMDAの医療用医薬品情報では、一般名/成分名はカナグリフロジン水和物、製造販売元は田辺ファーマ株式会社として掲載されています。

カナグリフロジンを含む海外医薬品

海外では、カナグリフロジンを有効成分とする以下のような製品が流通しています。

商品名エルカナジンボカナメット
パッケージElcanazin 100 mg、エルカナジンVokanamet 150mg/850mg 60tabs (ボカナメット[150mg+850mg]60錠)
有効成分含有量カナグリフロジン100mgカナグリフロジン150mg
メトホルミン850mg
製造メーカーエルダー・プロジェクト
(Elder Project Limited)
ヤンセン・ファーマシューティカル
(Janssen Pharmaceutical)
商品詳細ページ商品詳細ページへ商品詳細ページへ

まとめ

  • カナグリフロジンは、尿中への糖の排泄を増やして血糖を下げるSGLT2阻害薬です。
  • 日本では、2型糖尿病と、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に用いられます。1型糖尿病には使用しません。
  • 通常は100mgを1日1回、朝食前または朝食後に服用します。
  • 低血糖、脱水、ケトアシドーシス、尿路・性器感染症、腎機能低下、下肢切断リスクなどに注意が必要です。
  • 服用中は尿糖や1,5-AGによる血糖評価が難しくなるため、検査時には服用中である旨を伝えてください。

参照

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