
バクロフェンは、抗痙縮薬に分類される中枢性筋弛緩薬です。脳や脊髄の疾患によって筋肉が過度につっぱる「痙縮(けいしゅく)」の症状をやわらげる目的で使われます。
日本では、経口剤のリオレサール錠・ギャバロン錠、髄腔内投与用のギャバロン髄注などが知られています。対象となる疾患は幅広く、脳血管障害、脳性麻痺、痙性脊髄麻痺、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、外傷や手術後の後遺症などが挙げられます。
私たちの体には、神経の興奮を抑える「抑制性の神経伝達物質」があり、その代表がGABA(ギャバ/γ-アミノ酪酸)です。バクロフェンは、このGABAと関わりの深い成分で、主に脊髄にあるGABA-B受容体にはたらきかけます。
これにより、脊髄での過剰な反射活動が抑えられ、筋肉のつっぱり、こわばり、クローヌス(筋肉が律動的に収縮を繰り返す症状)といった痙縮の症状の軽減を支えると考えられています。日本の電子添文でも、バクロフェンが脊髄の反射を選択的に抑えることが、作用の仕組みとして記載されています。
作用の流れ
中枢神経系、とくに脊髄レベルに作用
↓
GABA-B受容体刺激などを介して興奮性神経伝達を抑制
↓
単シナプス反射・多シナプス反射が抑えられる
↓
筋緊張、クローヌス、つっぱり感、こわばりなどの痙縮症状の軽減を支える

バクロフェンの用法用量は、年齢、症状、腎機能、治療方法などによって異なります。ここでは、日本の電子添文に基づく一般的な情報を紹介します。
成人の経口剤では、通常、初回量として1日5〜15mgを1〜3回に分けて食後に服用します。その後、症状を確認しながら、2〜3日ごとに1日5〜10mgずつ増量することがあります。
標準用量は1日30mgとされていますが、年齢や症状によって調整されます。
小児では、初回量として1日5mgを1〜2回に分けて服用し、症状を確認しながら増量します。標準用量は年齢によって異なります。
自己判断で服用量を変更したり、中止したりすることは避けてください。

比較的よくみられる副作用として、眠気、脱力感、筋力低下、ふらつき、めまい、悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛、口渇、下痢、便秘などが報告されています。
頻度は高くないものの注意が必要な副作用として、意識障害、呼吸抑制、幻覚、錯乱、依存性、過量投与による中枢神経の抑制などがあります。
服用を始めたときや増量したとき、腎機能が低下している場合、ほかの薬と併用している場合は特に注意し、気になる症状があれば医師や薬剤師に相談してください。
バクロフェンを長期間使っている場合、急に中止すると離脱症状が起こることがあります。
経口バクロフェンでは、急な中止により、幻覚、せん妄、錯乱、興奮状態、けいれん発作などが報告されています。中止する場合は医師の指示のもと、必要に応じて少しずつ減量します。
髄腔内バクロフェンでは離脱症状がより重くなることがあり、突然の中断により、高熱、精神状態の変化、強い痙縮の再発、筋硬直、横紋筋融解症(筋肉が壊れて成分が血中に流れ出す重い状態)などが起こることがあります。死亡例も報告されているため、自己判断で中止しないことがとりわけ重要です。
バクロフェンは主に腎臓から排泄される薬です。腎機能が低下している方では、薬が体内に蓄積しやすくなる可能性があるため、低用量から開始するなど慎重な投与が必要とされています。
特に、透析を要するような重い腎機能障害がある場合は、意識障害や呼吸抑制といった過量症状に注意が必要です。腎臓の病気がある方や、腎機能について指摘されたことがある方は、使用前に必ず医師へ相談してください。
バクロフェンは、中枢神経に作用する薬との併用に注意が必要です。催眠鎮静薬、抗不安薬、麻酔薬、アルコールなどと併用すると、眠気や中枢神経を抑える作用が強く出る可能性があります。
また、オピオイド系鎮痛薬との併用では、低血圧や呼吸困難などが強く現れるおそれがあります。現在使用している薬がある場合は、医療用医薬品だけでなく、市販薬やサプリメントも含めて、事前に医師や薬剤師へ伝えてください。
以下に該当する方は、バクロフェンの使用について特に慎重な判断が必要です。
バクロフェンは眠気やふらつきを起こすことがあるため、服用中は自動車の運転や、危険を伴う機械の操作を避ける必要があります。
バクロフェンには、口から服用する経口剤と、髄腔内に投与する製剤があります。
経口バクロフェンは、リオレサール錠やギャバロン錠などが代表的で、痙性麻痺に対して内服で使用されます。一方、髄腔内バクロフェンは、ギャバロン髄注として使われる治療法で、植込み型の専用ポンプを使い、髄腔内へ持続的に薬を届けます。
髄腔内投与は、経口治療では効果が不十分な場合や、副作用で内服の継続が難しい重度の痙縮などで検討されます。ポンプやカテーテルの管理が必要なため、専門的な医療体制のもとで行われます。
日本では、経口バクロフェンは「各種疾患による痙性麻痺」に対する抗痙縮薬として承認されています。脳や脊髄の疾患によって生じる筋緊張の高まりやこわばりに対して、医師の診断と管理のもとで使われます。
重度の痙縮で、経口治療だけでは効果が不十分な場合や、副作用で内服の継続が難しい場合には、髄腔内バクロフェン療法という選択肢があります。これは専用ポンプを用いる専門的な治療で、十分な知識と経験を持つ医師によって行われます。
バクロフェンを有効成分とする医薬品は、日本においては、リオレサール錠、ギャバロン錠、ギャバロン髄注などが知られており、いずれも医師の診断と管理のもとで使用される医薬品です。
海外では、バクロフェンのジェネリック医薬品(後発医薬品)も広く流通しています。いずれの製品も、医師の処方と指導・管理のもとで使用される医薬品です。
| バクロフリキッド |
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| 有効成分含有量:1% |
| 製造元:インタス・ファーマ(Intas Pharmaceuticals Ltd) |
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バクロフェンは、抗痙縮薬に分類される中枢性筋弛緩薬です。主に脊髄での過剰な反射活動を抑え、痙性麻痺に伴う筋肉のつっぱりやこわばりをやわらげます。
副作用としては、眠気や脱力感などの比較的よくみられるものに加え、意識障害、呼吸抑制、離脱症状、腎機能低下時の過量症状にも注意が必要です。
使用を検討する際は自己判断を避け、医師や薬剤師などの専門家に相談してください。