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L-アルギニンとは

L-アルギニンは、タンパク質をつくるアミノ酸のひとつです。健康な大人では体の中でもつくられますが、成長期やけが・重い病気のときなど、必要量が体内でつくれる量を上回る場面では食事からの補給が重要になります。このため「条件付き必須アミノ酸」と呼ばれます。

L-アルギニンはタンパク質の材料になるだけでなく、一酸化窒素(NO)のもとになる、体内で生じたアンモニアを処理する尿素サイクルに関わる、クレアチンやポリアミンの合成に使われるなど、さまざまな代謝に関係しています。

日本ではサプリメントの成分として知られる一方、医薬品としてもはっきりした用途があります。尿素サイクル異常症などにともなう血中アンモニア濃度の上昇を抑える治療や、成長ホルモンの分泌能力を調べる下垂体機能検査に、L-アルギニンの医療用製剤が使われています。

このページで大切なのは、「食品」「サプリメント」「医療用製剤」ではまったく目的も量も違うという点です。以下では、その違いを整理しながら、はたらき・使い方・注意点を紹介します。

L-アルギニンの作用機序

L-アルギニンには単一の作用機序があるわけではなく、目的によって関わる経路が異なります。代表的なものは次の3つです。

1)一酸化窒素(NO)のもとになる

L-アルギニンは、一酸化窒素合成酵素(NOS)によってNOに変換されます。NOは血管の壁の筋肉をゆるめ、血管を広げる信号として働くため、血流や血圧、勃起機能との関連で研究されてきました。

L-アルギニン
▼
一酸化窒素合成酵素(NOS)のはたらき
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NO(一酸化窒素)がつくられる
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血管の壁の筋肉がゆるむ
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血管が広がり、血流が増える

ただし「たくさん飲むほどNOが増えて血流が良くなる」という単純な話ではありません。健康な人やアスリートを対象とした研究では、サプリメントでNO産生や血流、運動能力がはっきり改善しなかったという報告も多くあります。

2)尿素サイクルでアンモニアを処理する

L-アルギニンは、尿素サイクル(オルニチンサイクル)を構成するアミノ酸のひとつです。尿素サイクルは、タンパク質の代謝などで生じる有害なアンモニアを尿素などに変えて体の外に出すしくみです。

医療用製剤の電子添文では、アルギナーゼ欠損症を除く尿素サイクル異常症にアルギニンを補うと、残っている酵素のはたらきが利用され、尿素・シトルリン・アルギニノコハク酸などを介した窒素の排泄が進み、血中アンモニア濃度が下がると説明されています。

タンパク質・アミノ酸の代謝
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アンモニアが生じる
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尿素サイクルにL-アルギニンが関わる
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窒素の排泄が進む
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血中アンモニア濃度の上昇が抑えられる

3)成長ホルモンの分泌を刺激する

高用量のL-アルギニンを静脈内に投与すると、下垂体からの成長ホルモン(GH)の分泌が刺激されます。この性質を利用して、日本ではL-アルギニン塩酸塩の点滴製剤が下垂体機能検査薬として承認されています。

ただしこれは、病院で医師が行う静脈内の負荷試験の話であり、市販のサプリメントを飲めば成長ホルモンが大きく増えて筋肉がつく、という意味ではありません。

L-アルギニンの使い方

L-アルギニンは、使われる場面によって量も管理のしかたもまったく異なります。以下は一般的な目安であり、実際にどれだけ摂るかは目的や体調、飲んでいる薬によって変わります。持病がある人や薬を飲んでいる人は、自己判断で始めず医師・薬剤師に相談してください。

食事から摂る場合

L-アルギニンは肉、魚、大豆製品、ナッツ類などタンパク質の多い食品に含まれます。通常の食生活からの摂取量は、研究上おおよそ1日3.5〜5gとされています。

サプリメントとして摂る場合

サプリメントの研究では、1日2〜20g程度と幅広い量が検討されてきました。製品によって1回量も回数も異なるため、まずは製品に記載された目安量を守り、それを超えて増やさないことが基本です。

体内でL-アルギニンに変わるL-シトルリンと組み合わせた製品もあります。目的や体質に合うかどうかは人によって異なるため、体調の変化に注意しながら使ってください。

医療用製剤として使う場合

尿素サイクル異常症などに用いる経口製剤では、1日量として体重1kgあたり0.15〜0.50g(L-アルギニンとして0.12〜0.38g)を3〜6回に分けて服用するとされています。少量から始め、血中アンモニア濃度や症状を見ながら増やし、低タンパク食などの栄養管理と組み合わせて行います。

L-アルギニンに期待されるはたらきと研究の現状

筋肉・運動パフォーマンス

NOを増やす、成長ホルモンを刺激する、クレアチンの材料になる、といった理由からスポーツサプリメントとして使われてきました。しかし、健康な運動者を対象とした研究をまとめると、筋力、筋肥大、持久力、血流、疲労回復のいずれについても、はっきり改善するという根拠は乏しいと整理されています。

つまり「NOの原料になる」ことと「サプリメントで運動能力が大きく上がる」ことは、同じではありません。

血圧

血圧については、複数の無作為化比較試験をまとめた解析で、L-アルギニンの摂取により収縮期・拡張期の血圧がいくらか下がったという報告があります。ただし対象者や量、試験の条件にはばらつきがあり、この結果をもって高血圧の治療薬の代わりになるとはいえません。降圧薬を飲んでいる人は、とくに次章の注意点を確認してください。

ED(勃起不全)

EDについても、NOの経路との関係から研究されています。軽症〜中等症のEDを対象とした複数の試験をまとめた解析では、L-アルギニンがプラセボや無治療に比べて勃起機能を改善したという報告があります。一方で、シルデナフィルやタダラフィルなどのPDE5阻害薬のほうが改善の程度は大きいとする解析もあります。

L-アルギニンの副作用

サプリメントで比較的みられる症状

  • 吐き気、腹痛、下痢、お腹のはり
  • 頭痛

研究上は、1日9g程度までを数日〜数週間使用した範囲では大きな安全性の問題は報告されていない一方、1日9〜30gでは下痢や吐き気などの消化器症状が増えると整理されています。これは「9gまでなら誰にでも安全」という意味ではなく、健康な成人を中心とした短期間の研究の範囲での情報です。高用量を3か月以上続けた場合の安全性は、十分にはわかっていません。

医療用の点滴製剤で注意すべき重篤な副作用

以下は医療機関で使われる点滴製剤についての情報ですが、L-アルギニンという成分の性質を知るうえで参考になります。

  • アナフィラキシー:発疹、じんましん、呼吸困難、血圧低下など。直ちに投与を中止して処置が必要です
  • 高クロール性アシドーシス:L-アルギニン「塩酸塩」の製剤を大量に投与すると、塩化物の負荷によって起こることがあります。血液のpHなどを確認し、疑われる場合は中止します
  • 血管外漏出:高濃度の薬液が血管の外に漏れると、皮膚の壊死や潰瘍が報告されています。点滴部位の赤み、腫れなどがあれば直ちに中止します

L-アルギニンの使用上の注意

1) アルギナーゼ欠損症では使用しない

尿素サイクル異常症の多くではアルギニンの補充が治療に使われますが、アルギナーゼ欠損症では逆にアルギニンが体内にたまってしまうため、医療用製剤では禁忌とされています。同じ尿素サイクル異常症でも、アルギニンを使ってよい場合とそうでない場合があります。

2) 腎機能が低下している場合は注意

L-アルギニンを大量に摂ると、その代謝にともなって尿素などの窒素代謝物が生じます。医療用の点滴製剤では、腎機能障害のある患者について、代謝産物がたまって症状が悪化する可能性があるとして注意されています。重い腎臓の病気がある人が、自己判断で高用量のサプリメントを使うことは避けてください。

3) 血圧を下げる薬との併用に注意

L-アルギニンはNOを介して血管を広げ、血圧を下げる方向に働く可能性があります。そのため、降圧薬、狭心症に使う硝酸薬、シルデナフィルなどのPDE5阻害薬と一緒に使うと、血圧が下がりすぎるおそれがあります。心臓や血管の薬を使っている人が「血流を良くしたい」という理由でL-アルギニンを足す場合は、必ず医師に相談してください。

4) カリウム保持性利尿薬との併用に注意

スピロノラクトン、アミロライド、トリアムテレンなどのカリウム保持性利尿薬と併用すると、血液中のカリウムが高くなるリスクが高まる可能性があります。腎機能が低下している場合はとくに注意が必要です。

5) 喘息がある場合は注意

医療用のL-アルギニン塩酸塩点滴製剤では、気管支喘息の患者で症状が一時的に悪化することがあると記載されています。経口のサプリメントについても、喘息の悪化が報告されることがあるため注意が必要とされています。

6) 心筋梗塞のあとに自己判断で使わない

2006年に報告されたVINTAGE MI試験では、ST上昇型心筋梗塞を起こした患者に1回3gを1日3回、6か月にわたりL-アルギニンを投与しました。血管の硬さや心機能の改善は認められず、L-アルギニン群で6人(8.6%)が死亡したのに対しプラセボ群では死亡が0人だったため、安全性の懸念から試験が早期に中止されました。研究者は、心筋梗塞のあとにL-アルギニンを使うべきではないと結論づけています。

その後の研究で死亡率の上昇が一貫して再現されているわけではないため、「必ず危険」と断定することも適切ではありません。それでも、最近心筋梗塞を起こした人が自己判断で高用量のL-アルギニンを始めるべきではない、という重要な安全上のサインです。

7) 妊娠中・授乳中の場合

医療用のL-アルギニン製剤では、妊婦または妊娠している可能性のある女性について、治療上・診断上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用するとされています。授乳中も、治療の必要性と母乳を続ける利点を考え合わせて判断します。サプリメントとして高用量を長期間使った場合の妊娠・授乳期の安全性は、十分に確立されていません。

食品・サプリメント・医療用製剤の違い

同じ「L-アルギニン」でも、次のように位置づけが大きく異なります。

項目食品から摂るL-アルギニンL-アルギニンサプリメント医療用のL-アルギニン製剤
主な目的栄養・タンパク質の摂取血流、運動時のコンディション、男性機能などを意識した使用尿素サイクル異常症などの治療、下垂体機能検査
摂取量通常の食生活でおよそ1日3.5〜5g製品・研究によって幅が大きい疾患・検査ごとに厳密に設定される
使い方の管理基本的に不要持病や飲んでいる薬との相性に注意医師の管理下で使用
注意点通常の食事量なら問題になりにくい消化器症状、血圧低下、薬との相互作用アナフィラキシー、アシドーシスなどを含め厳密に管理

サプリメントを選ぶときは、「医療用で使われているから効果が確実」と考えないことが大切です。医療用製剤の用途は尿素サイクル異常症や下垂体機能検査であり、健康維持や運動目的とはまったく別の話です。持病がある人、薬を飲んでいる人は、自己判断で選ばず医師や薬剤師に相談してください。

L-アルギニンを含む製品の入手方法

日本・海外での位置づけ

L-アルギニンは、日本でも食品やサプリメントとして広く流通しています。一方で、尿素サイクル異常症の治療薬や下垂体機能検査薬として承認されている製剤は、医療機関で医師が使う医薬品であり、一般の健康目的で入手するものではありません。

海外でもL-アルギニンは栄養補助食品として広く販売されており、日本国内で未承認の海外製サプリメントを、個人が自分で使う目的で取り寄せることは、個人輸入として一定の範囲で認められています。ただし、国内の公的な救済制度の対象外となること、品質や表示の確認が自己責任になることを理解したうえでの利用となります。

とくに、降圧薬やPDE5阻害薬、利尿薬などを使っている人、腎臓の病気や喘息がある人、心筋梗塞を起こしたことがある人は、使用前に必ず医師へ相談してください。

当サイトで取り扱いの製品

商品名ブランド・製造元生産国商品詳細ページ

バイタルミー – L-アルギニン、L-シトルリン

バイタルミー(VitalMe)
アメリカ商品ページ
L-アルギニン・L-オルニチン(L-Arginine, L-Ornithine)バイタルミー サプリメント
バイタルミー L-アルギニン・L-オルニチン
バイタルミー(VitalMe)アメリカ商品ページ
L-アルギニン
アルギウルトラ – L-アルギニン

モレペン・ラボラトリーズ
(Morepen Laboratories)
インド商品ページ

まとめ

L-アルギニンは、タンパク質の材料になるだけでなく、一酸化窒素の産生や尿素サイクルによるアンモニア処理など、体内の重要なはたらきに関わるアミノ酸です。血圧や軽症〜中等症のEDについては改善を示す研究がある一方、運動能力や筋肉づくりへの効果については根拠が乏しいと整理されています。

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